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2017 Fiscal Year Research-status Report

成果を横取りする他者に対する利益分配忌避のラット行動モデルの確立

Research Project

Project/Area Number 17K18715
Research InstitutionDoshisha University

Principal Investigator

畑 敏道  同志社大学, 心理学部, 教授 (50399044)

Project Period (FY) 2017-06-30 – 2019-03-31
Keywords不公平忌避 / フリーライダー / ラット
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、報酬の分配に関わる社会的な不公平、具体的には他個体に自らの行動の成果を"横取り"されたり、成果に"ただ乗り"されたりすることを避ける行動を測定するための標準的で自動化された動物行動モデルを作出することである。
具体的には、1つのレバーと2つの餌皿、およびそれぞれの餌皿の上部にランプが設置されたオペラント箱を用いた。ひとつのオペラント箱には、自らレバーを押すことのできるラットAと、できないラットBを入れた。ただしラットBは筒の中に入れられたうえで、どちらか一方の餌皿の前に置かれていた。ラットAがレバーを押すことで、ランプが点灯している側の餌皿に餌が供給された。ラットAは、筒のない側の餌皿に餌が供給された場合はそれを摂取できたが、筒のある側の餌皿に供給された場合には筒が邪魔になり摂取できなかった。つまり、ラットAにとって、筒側のランプが点灯している試行は消去試行となった。一方、ラットBには(ラットAのレバー押しによって)筒側に供給された餌を摂取できる実験群と摂取できない統制群の2群を設けた。つまりラットBが餌を摂取できる条件は、ラットAにとってレバー押し行動の消去場面になるだけではなく、他個体によって自らの行動の成果物である餌を取られてしまうという"横取り"あるいは"ただ乗り"場面としての要素が追加されることになっていた。
この実験の結果、筒のある側に餌が供給される試行では、統制群に比べて実験群のレバー押し回数はより速く減少した。すなわち、自らの行動の結果供給された餌を他個体が消費してしまう場合には、そうでない場合に比べて消去が速まることを示している。このことから、ラットにおいて不公平忌避が生じることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度は、雄ラットを対象として、自動化された場面において不公平忌避を測定する課題・手続きを考案することを目指していた。この目的は達成されたため、研究はおおむね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

今後は、個体の優位性によって不公平忌避行動が影響を受けるかどうかを検討することを予定している。先行研究では、優位性の高い個体では不公平忌避が生じるが、低い個体では生じないことが示されている(Overliessen et al., 2016)。このような現象が本課題でも生じれば、不公平忌避を測定する課題としての妥当性がさらに保証される。また、他個体が餌を摂取しているところを観察したラットは、前半には快、後半には不快の指標とされる超音波発生が増加することが示されている(Kashtelyan et al., 2014)。前年度に導入した音声解析装置により、このような発声が怒っているかどうかも確かめる予定である。以上のような周辺的な証拠を集めることで、不公平忌避行動を測定する課題としての本手続の妥当性を検討してゆく。

Causes of Carryover

主に「人件費・謝金」および「その他」として申請した金額の執行額が予定より少なかったため。
次年度には論文の執筆を予定しているので、この英文校閲費やデータ分析補助などの「人件費・謝金」および「その他」の項目で使用する予定である。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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