2017 Fiscal Year Research-status Report
悪条件な三角形分割を許容する有限要素スキームの探求
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17K18738
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
土屋 卓也 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (00163832)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 有限要素法 / 三角形分割 / chunkiness parameter |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元有界領域上で定義されたPoisson問題に対する有限要素法に対して、領域の三角形分割の品質が有限要素解の精度にどのような影響を及ぼすかを調べた。通常よく使われるLagrageタイプの有限要素法においては、三角形分割内の三角形の外接半径の最大値が0に収束していくという「外接半径条件 (circumradius condition)」が本質的に重要であることが、申請者の研究でわかっている。この外接半径条件は、従来よく用いられる正則性条件を大幅に緩和したものであるが、本研究の目的はこの条件をさらに緩めることができる有限要素スキームを見出すことであった。 そこでまず、Crouzeix-Raviart有限要素法が悪条件の三角形分割に対して頑健であるのではないかという予想を立て、それを検証することを試みた。その結果、Crouzeix-Raviartとそれとほとんど同値なRaviart-Thomas有限要素法においても、三角形分割の外接半径条件が本質的であるという結果を得た。その結果を、以下の論文にまとめ学術誌に投稿した: Kenta KOBAYASHI, Takuya TSUCHIYA, "Error analysis of Crouzeix--Raviart and Raviart--Thomas finite element methods", arXiv:1712.06242. 数値例によると、Crouzeix-Raviart, Raviart-Thomas有限要素法においては、外接半径条件は「最良の」もので、これ以上条件を緩和することはできないようだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記、「研究実績の概要」で説明したように、当初の予想は少し外れたが、それなりの研究成果が生まれた。よって、進捗状況としては「おおむね順調に進呈している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
申請者のこれまでの研究から、標準的なLagrage有限要素法では上記の外接半径条件が最も本質的で最良な条件であることがわかっている。非標準的な有限要素法では非連続ガレルキン法と呼ばれる方法があるが、もしかしたら非連続ガレルキン法では、三角形分割に全く幾何学的制約をつけずに誤差解析・収束証明ができるかもしれない。今年度は、悪条件の三角形分解を用いた非連続ガレルキン法の誤差解析をする予定である。 また、今まではPoisson問題に対する有限要素法について調べてきたが、今年度は遅い流れを記述するStokes問題に対する有限要素法についても研究する予定である。その際には、悪条件の三角形分割においてStokes問題に対応する離散inf-sup条件が成り立つことを確かめる必要がある。これについては先行研究がないと思われるので、成功した場合、非常に意義のある結果になることが予想できる。
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Causes of Carryover |
当初計画していたよりも物品費を安く抑えることができたため未使用額が発生したが,引き続き,次年度以降も物品購入に使用する
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Research Products
(16 results)