2018 Fiscal Year Research-status Report
ホモロジー論的視点からのパーコレーションの高次元化の研究
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17K18740
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白井 朋之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (70302932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 裕章 京都大学, 高等研究院, 教授 (10432709)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | パーシステントホモロジー / 全域非輪体 / ゼータ関数 / ランダムトポロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は白井(研究代表者)と平岡(研究分担者)および竹居(連携研究者)は,パーシステントホモロジーをランダム曲線に応用するための予備的な議論を行った.曲線に対するパーシステント図の現れ方を考えるとその個数はカタラン数と関連することがわかり,その極限の様子などを調べる議論の基礎となることが期待される.白井・平岡・落合によってトーラス上(周期境界条件)の方体複体上のラプラシアンの固有値について計算された.この場合は,固有値の計算が少し簡単になり,その応用として,方体複体上のパスに関する伊原型のゼータ関数の計算をおこなった.また,特別な場合については,トーラスの各辺の長さから決まる整係数多項式による因数分解についても議論を行った.この結果は論文として執筆して,数理研講究録別冊への掲載が決まった.一般の格子複体の場合にスペクトルの状況は複雑であるが,ほぼ計算が完了している.これらを用いて,全域非輪体の数え上げの問題を考察中である.また,平岡・見上によって,d次元の方体複体において(d-1)次元の穴に着目した新しいパーコレーションの類似物が導入され,相転移現象の存在が確認された.また,臨界確率よりも面の出現確率が大きい場合には,無限サイズの穴のクラスターの存在についても証明された.この研究は,余次元1の場合のパーコレーションであるが,余次元が2以上の高次元のパーコレーションの定義への一つの可能性を示唆しているものである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的なトーラス上のセル複体上のラプラシアンの固有値の計算を進展させて,セル複体上におけるサイクルを定義して,そのゼータ関数の計算を行った.また,トーラス化しない場合もある程度複体のラプラシアンの計算が実行されて,全域非輪体の数えあげの準備が整った.高次元の複体のパーコレーションについては
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度に引き続き,分担者の平岡らが考察した余次元1の場合のパーコレーションを参考に,複体上のパーコレーションの妥当な定義についての模索を続ける. また周期的な格子複体の場合に計算した複体のラプラシアンの固有値の計算を,周期境界条件がない場合について計算して,それを用いて全域非輪体の個数を計算してその極限のエントロピーについても考察する.
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Causes of Carryover |
招聘を予定していた研究者が来日できなかったことと、複数の出張旅費を招待者側の方でサポートがあったため。あらためて国内外から研究者を招聘する.
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