2018 Fiscal Year Research-status Report
Application of deep learning to the quantum phase transition in random electron systems
Project/Area Number |
17K18763
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
大槻 東巳 上智大学, 理工学部, 教授 (50201976)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 深層学習 / 畳み込みニューラルネットワーク / recursive neural network / トポロジカル絶縁体 / ワイル半金属 / 量子カオス / アンダーソン転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は,畳み込みニューラルネットワークを使った深層学習だけでなく,recursive neural networkを用いた量子カオス系のダイナミクスの研究も行った。ここでは量子カオスのモデルとしてkicked rotor(撃力に駆動された回転子)を考えたが,これは撃力項に変調を加えると高次元のアンダーソン転移を記述する有効モデルとなることが知られている。この系の解析により,高次元のアンダーソン金属ー絶縁体を研究し,高次元での量子相転移に対して,ここで開発した手法が有効であることを実証した。またrecursive neural networkも同様に相図を決定できることを示した。 以上の研究とともに3次元のトポロジカル絶縁体,ワイル半金属の相図を決定した。この研究の初期の段階では実空間の波動関数を解析していたが,今回はkー空間の波動関数を考察し,より鮮明な相図が描けることを実証した。特に表面状態の有無だけでは区別がつかない強いトポロジカル絶縁体と弱いトポロジカル絶縁体の見分けがkー空間では可能となることを実証した。これに加えてkー空間の解析により,同じワイル半金属でもワイルノードの対の数が異なる相を見分けることに成功した。 また,韓国,およびドイツでの国際ワークショップで招待講演を行い,日本物理学会主催の科学セミナーで講演,日本物理学会のシンポジウムで講演,雑誌「固体物理」に解説を発表するなど,本研究の成果公表に努めた。また,人工知能学会で招待講演を行い,この研究が学際的なものになるよう努めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画を超えて,4次元のアンダーソン転移,フーリエ空間での波動関数の解析を行い,この科研費で提案した手法の有効性を実証できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年にわたってこの研究を推し進めてきたが,成果が十分出ており,本課題に関する招待論文も依頼されている。また,この研究テーマに直接関係している論文が,この3月,日本物理学会論文賞を受賞した。これを機会に何がわかって,今後何をする必要があるかを検討する。
|
Causes of Carryover |
研究室の引っ越しがあり,コンピュータをアップグレードすることを控えたとともに,国際会議が招待講演となり費用が抑えられた。この分は本年度にコンピュータをアップグレードするとともに,より広く学会に参加して成果の発表を行う。
|
Research Products
(9 results)