2019 Fiscal Year Annual Research Report
On applications of fatgraph techniques to the molecular biology via matrix models
Project/Area Number |
17K18781
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
藤 博之 香川大学, 教育学部, 准教授 (50391719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋上 和弘 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (60262151)
村上 斉 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (70192771)
佐竹 郁夫 香川大学, 教育学部, 教授 (80243161)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ファットグラフ / タンパク質 / 行列模型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究では,主に行列模型の技術的側面の研究と同時に,タンパク質の構造予測に関する数理モデルの構築を行った.まず,行列模型の技術的側面に関する研究では,この2年間の間に投稿した,Fano多様体のミラー対称性と位相的漸化式に関する研究の論文と,QCD類似模型のランダム行列模型に関する研究の論文を改訂し,最終的に出版するに至った. 一方,タンパク質の構造予測に関する数理モデルは,昨年度から取り組んできたプロジェクトがようやく完成に近づいてきた.これまでの先行研究では,タンパク質の構造予測に用いられてきたファットグラフの技術は,主にタンパク質の主鎖の回転角を表すことに用いられ,ファットグラフのオイラー数のような,位相的な情報を使ったものはここ10年あまりあまり進展がなかった.この要因として,主査が数百のペプチドユニットからなるタンパク質の形をとらえるのに,オイラー数だけでは情報が不十分となることに加えて,タンパク質の場合はαヘリックスとβシートの構造が主なものであり,それらが生成される過程をトポロジーだけで予測するということは難しいことが挙げられる. これらの困難な点を回避して,ファットグラフのトポロジーの威力を発揮できる状況を探った結果,αヘリックスやターンなどの構造はインプットの情報として,βシート構造が形成される様子を予測する問題には,この手法が有用であることが明らかとなった.我々の研究では,この構造予測を「メタ構造予測」と名付け,アライメントなどの手法を組み込んだ構造予測アルゴリズムを構築した. 現在構築したアルゴリズムでは,的中率が部分的に90%を超える場合もあり,ファットグラフのトポロジカルな手法が有用であることが明らかとなってきたものの,長い主鎖をもつタンパク質に対するメタ構造予測精度はまだ低い状況にある.この点を改善し次第,論文として発表する予定である.
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Research Products
(11 results)