2017 Fiscal Year Research-status Report
Basic study of high frequency RFQ to dratiscically improve the preformance of the muon linac
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17K18784
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
近藤 恭弘 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 J-PARCセンター, 副主任研究員 (40354740)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ミューオン加速 / リニアック / RFQ / ミューオンg-2 / Lバンド / コールドモデル / 無酸素銅 / 低電力測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
大強度陽子加速器施設J-PARCのミューオン施設において新たなミューオン異常磁気モーメント(g-2)精密測定実験が計画されており、この実験の成否を握るミューオンリニアックの開発を進めている。ミューオンの初期加速には開発期間短縮のため加速周波数324MHzのJ-PARCリニアック用高周波四重極加速空洞(RFQ)の予備品を用いるが、RFQの周波数を大きく上げることでより合理的な設計となる可能性がある。これによりベースライン設計と同程度の長さで4MeVまで加速可能となり、加速器全体の構成が劇的に簡素化される。ミューオン崩壊による損失も324MHz区間で20%だったものが6%に改善される。本研究ではミューオン加速用の、これまでに類を見ない高加速周波数RFQの実現に向け、まずは低電力モデルを作成し性能を検証することを目的とする。 本年度は、本研究計画の予算で製作できる長さである、450mmの低電力モデルを製作した。通常低電力モデルはアルミ等で製作するが、現在の工作機械の精度ならば必要な寸法精度が得られるのは自明である。RFQにおいては、難削材である焼きなまし銅に起因する、切削制度の悪化や加工残留応力による変形が重大な問題となるため、本研究では焼きなまし銅で低電力モデルを製作し、要求を満たす加工精度で製作できることを確認した。この低電力モデルは独立した空洞として成り立つように到達エネルギー、すなわち長さ以外は実際のRFQと同じ構造であり、共振周波数やQ値など、加速空洞としての基本的な特性をベクトルネットワークアナライザで測定し性能を満たしていることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施計画通り、高周波数RFQの空洞設計を行い、低電力モデルを製作した。すでに得られていたビーム力学設計を実現するための空洞断面形状を、2次元の計算コードであるSUPERFISHを用いて行い、実際の空洞製作に必要となる3次元設計を、CST Micro Wave Studioを用いて行った。この設計を元に低電力モデルを製作し、加工精度や空洞性能が要求仕様を満たしうることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度に製作した高周波数RFQ低電力モデルの電磁場分布を測定する。電磁場分布は、ビーズ摂動法と呼ばれる空洞内に導体片(ビーズ)を挿入することにより誘起される周波数変化を挿入位置の関数としてプロットする方法で測定する。ビーズを駆動するためのステッピングモータは手持ちの物を使用するが、1300-MHz RFQの小さな空洞に適合する懸架装置および制御装置はそのままで適合できるものが無いので購入または製作する。 加速空洞としての基本的性能の測定結果をまとめ、論文として発表する。
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Causes of Carryover |
H29年度に購入したRFQコールドモデルの購入費用が当初想定より安く購入できたため、当初想定額と購入額の差額が次年度使用額として生じることとなった。この次年度使用額は、H30年度に予定している高周波数RFQ低電力モデルの電磁場分布測定用機器の整備のための電磁場分布測定用のビーズ駆動装置及び制御用機器の購入と製作に係る費用として使用する。
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