2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a meta-material based half-wave plate for a measurement of the cosmic microwave background polarization.
Project/Area Number |
17K18790
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松村 知岳 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (70625003)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | インフレーション仮説の検証 / 偏光変調器 / 半波長板 / 反射防止機能 / メタマテリアル / 微細加工 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフレーション仮説はビッグバンの残り火である宇宙マイクロ波背景放射(Cosmic Mic rowave Background=CMB)のBモード偏光を観測することにより検証が可能であり、世界的にその発見に向けた熾烈な競争がある。本研究計画では、高感度化を目指し大型化する実験に対応すべく、自然界に存在する材料ではなく、人工的に光物性を設計、作成することができるメタマテリアル方式の偏光変調器のための光学素子、半波長板、の開発を目指す。波長よりも小さい構造を誘電体に作成した場合、その部分の屈折率は真空と誘電体の屈折率の間の値を持つことになる。ゆえに真空と誘電体の占める割合を調整することで、自由に屈折率を設定することができ、結果として人工的に光物性を設計し作成することができる。本研究提案では、ダイシングまたはレーザーの微細加工を用いることで、 反射防止膜機能を持つ半波長板を単一誘電体から作成する。今年度は広帯域にて反射防止機構付き波長板として機能するための微細形状の最適化のためにシミュレーションを行なった。また、シミュレーションの手法には2通りあり、一つはEffective Medium Theoryを用いた近似的な手法、そして厳密解を用いた方法がある。両者は精度と計算時間のトレードオフする関係であり、前者では波長と形状のピッチの大きさが近い場合、有効誘電率と波長の依存性が大きくなり、広帯域にて反射防止機構付き波長板を機能を要求する場合手法として不適切であることを示した。したがって時間がかかるが厳密解を用いた手法を採用して行なう方針である。また、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構が保有するナノ秒UVレーザーを用いた微細加工の最適化を行なった。すでに、ピッチ0.4mm、高さ2mm程度の構造物を20mmx20mm程度の領域に加工することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、高感度化を目指し大型化する実験に対応すべく、自然界に存在する材料ではなく、人工的に光物性を設計、作成することができるメタマテリアル方式の偏光変調器のための光学素子、半波長板、の開発を目指す。波長よりも小さい構造を誘電体に作成した場合、その部分の屈折率は真空と誘電体の屈折率の間の値を持つことになる。ゆえに真空と誘電体の占める割合を調整することで、自由に屈折率を設定することができ、結果として人工的に光物性を設計し作成することができる。本研究提案では、ダイシングまたはレーザーの微細加工を用いることで、 反射防止膜機能を持つ半波長板を単一誘電体から作成する。今年度は広帯域にて反射防止機構付き波長板として機能するための微細形状の最適化のためにシミュレーションを行なった。また、シミュレーションの手法には2通りあり、一つはEffective Medium Theoryを用いた近似的な手法、そして厳密解を用いた方法がある。両者は精度と計算時間のトレードオフする関係であり、前者では波長と形状のピッチの大きさが近い場合、有効誘電率と波長の依存性が大きくなり、広帯域にて反射防止機構付き波長板を機能を要求する場合手法として不適切であることを示した。したがって時間がかかるが厳密解を用いた手法を採用必要があり結果として、想定していた最適化に要する以上に時間を要するため。
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Strategy for Future Research Activity |
単一波長にて反射防止と変調効率を最大化(>90%)するメタマテリアル式半波長板設計を厳密解手法を用いて示す。この設計に基づき数ミリ角領域範囲内にて加工性を示すため、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構が保有するナノ秒UVレーザー加工機にて試作サンプルを作成する。広帯域反射防止と変調効率は宇宙マイクロ波背景放射偏光観測で特に用いられる帯域として(目標35ー200GHz、要求100-200GHz)、厳密解手法を用いて設計を行う。単一波長の場合と同様に、微妙面積での加工性を示した上で20mm程度の領域に加工を行い、ミリ波光学特性評価システムにて透過率および変調効率を実測し、設計と比較を行う。
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Causes of Carryover |
メタマテリアル式波長板を設計を行う上で手法の選定に時間がかかり、設計が完全に終了しなかった。また、使用を想定していたナノ秒UVレーザー加工機の出力が想定よりも低下したため、試料作成のための準備のための条件出し加工が進まなかった。すでにレーザー加工機は修理が終了しており次年度には利用可能であり、条件出し加工をスタートしている。持ち越した予算にて、設計のためのシミュレーションソフトウエアとPC、さらに保有するナノ秒UVレーザーではできない加工を外注する加工費に当てる。また、光学測定に必要なミリ波光学素子を購入し、透過率と変調効率の測定が行えるように準備をする。
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