2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of a Novel Numerical Scheme for Multi-dimensional Stellar Evolution Calculations
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17K18792
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山田 章一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80251403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安武 伸俊 千葉工業大学, 情報科学部, 准教授 (10532393)
藤澤 幸太郎 早稲田大学, 理工学術院, 日本学術振興会特別研究員 (30732408)
大川 博督 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (40633285)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 多次元 / 恒星進化計算 / 回転 / 数値計算 / 非線形連立方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、我々の研究グループが独自に考案した非線形連立方程式を数値的に解く方法であるW4法に関するもので、(1) W4法による高速自転する恒星の構造・進化計算と、(2) W4法自体の改良と高効率化の2つのサブ課題からなっている。以下、各サブ課題ごとに研究実績の概要をまとめる。
(1) 軸対称2次元の質量座標系において星の平衡形状を数値的に求める定式化の改良を行った。申請当初からすでに、回転を伴わない球対称1次元の計算に関しては、W4法を適用して平衡解を導くことに成功していたが、初年度はこれを2次元問題へと拡張することに努めた。単純な拡張に思えるが、従来のニュートン法などでは平衡解を求めることができなった問題である。今回W4法を用いることによって、球対称から外れた初期条件から球対称解析解を再現する例をいくつか見出した。現在は解の収束性にまだ問題が残っているため、サブ課題(2)で改良された手法を用いた計算を開始している。
(2) W4法の数理的基礎づけとスキームの改良を行った。その結果、連立方程式から求まるヤコビ行列を適切な2つの行列に分解し、それぞれを三項間漸化式の一番目の式と二番目の式に用いることで局収的な収束性と大局的な収束性を両立することに成功した。特に、ヤコビ行列を上三角行列Uと下三角行列Lで分解するUL分解法が良い収束性を持つことが分かり、その収束性に関する数理的な解析も行った。また、他の様々な分解や行列処理を試行錯誤することで数理的な体系化を行った。これらの結果に関しては現在論文としてまとめており、論文として近く投稿する予定である。また、Spin-2の場で作られる星状オブジェクトの形状を求めた論文をPhysical Review D に出版した他、超新星コアにおいて定在衝撃波を通る回転と磁場を伴った定常降着流を系統的に求めた研究を国際会議で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)のサブ課題については、当初の我々の予想通り、動径方向やθ方向のみに解の探索方向を限れば、2次元平衡解が得られることが確かめられ、改めて我々の手法には大きな可能性が秘められていることがわかった。しかし、完全な2次元計算では収束に至っていないため、一層の改善が必要である。またこれとは別に、離散化された各体積要素に関する取り扱いを当初の方針から大幅に変えた。その結果、回転を伴わない球対称星の1次元と2次元における構造計算は完全に一致するようになった。
(2)のサブ課題については、当初の計画通りにW4法の収束性の改良と数理的な面での体系化に取り組んだ。ニュートン法などのこれまでのほぼ全ての計算法は、連立方程式から求まるヤコビ行列や近似的なヤコビ行列を漸化式に用いており、ヤコビ行列が正則でなくなる近傍で漸化式が発散を起こしてしまうため解が求まらないことがあった。これに対しW4法は三項間漸化式形式の逐次代入法であるため、ヤコビ行列を分解して一番目の漸化式と二番目の漸化式にそれぞれ用いることが可能であり、適切な行列の分解を用いることでこの発散を回避し収束性を大きく向上できることが明らかになった。さらに、行列の分解という視点で数理的な体系化を行うことが可能となり、様々な分解を試した結果、上三角行列Uと下三角行列Lで分解するUL分解法や、QR分解法に基づいてハウスホルダー行列を用いたLH分解法が特に収束性が良いことを明らかにできた。
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Strategy for Future Research Activity |
W4法の実装には解くべき方程式に応じて様々な定式化が考えらるが、初年度にサブ課題(1)において我々が適用したものはそのうちの最も簡略化されたものである。最終年度サブ課題(1)では、初年度にサブ課題(2)において改良されたものを含む色々な定式化を試す予定である。これがうまくいけば、回転の効果や、核反応、熱の輸送などを順次段階的に取り入れていく予定である。
一方サブ課題(2)に関しては、W4法自体の収束性の改良と数理的な体系化は初年度でほぼ完了したため、今後は当初の計画通り、計算の高速化と並列化に取り組む。ニュートン法などの直接法は行列の直接的な反転を伴うため計算時間が変数の数Nに対してN^3となり、変数が多い場合には高速化に向いていない。一方でW4法では、LH分解法はN^2の計算時間で行うことができるため、高い収束性を保ちながら高速化を行うことが可能である。さらにUL分解法に関しても、ヤコビ行列が疎行列である場合は近似的な分解を行うことで高速化が可能であることがすでに明かになっており、今後は高速化・並列化と相性の良いような行列分解と前処理を系統的に試していくことでW4法のさらなる高効率化を行っていく。
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Causes of Carryover |
年度末に開催した国際研究集会における招待講師の旅費、滞在費の予測に若干の誤差があったため。少額であるため、次年度の旅費等に組み入れて使用する予定。
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Research Products
(4 results)