2017 Fiscal Year Research-status Report
超高精度希土類元素安定同位体比測定に基づく新たな古海洋pH指標の確立
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17K18815
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中田 亮一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究員 (50726958)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若木 重行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 技術研究員 (50548188)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ダブルスパイク法 / ネオジム / イッテルビウム / 表面電子質量分析計 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は希土類元素(REE)の安定同位体分別を用いて新たな古海洋pH指標を確立することを目的としている。REEのうち、セリウム(Ce)を用いた実験から、Ceの安定同位体分別は要存化学種が支配している事が明らかになった(Nakada et al., 2017)ことから、REEのうち2元素の安定同位体分別を測定し、pHと炭酸濃度を含んだ同位体分別式を連立方程式として解くことで古海洋のpH及び炭酸濃度指標とすることが本研究の目的である。 本研究は実験室系でpHおよび溶存炭酸濃度の変化が同位体分別に与える影響を精査し、将来的に天然試料の分析から古海洋のpHおよび溶存炭酸濃度の推定指標を確立するものである。従って、REEの同位体比を超高精度で測定する必要がある。平成29年度は超高精度安定同位体比測定に向けて、表面電子質量分析計(TIMS)の分析条件の検討を行った。具体的には、ダブルスパイク法を用いてネオジム(Nd)およびイッテルビウム(Yb)の超高精度安定同位体比測定を行うため、分析誤差が最も小さくなる濃縮同位体の組み合わせ及び測定条件の確認を行った。Ndは質量数145と150の組み合わせが、Ybは質量数172と176の組み合わせが最も誤差が小さくなると計算されたことから、これらの濃縮同位体試薬の入手及び調整を行った。また、TIMSを用いた分析では、Nd、Yb共にリン酸をアクチベーターに用いてダブルフィラメントで行った場合に、最も安定したビームと信号強度が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書にて予定していた平成29年度の実施計画を達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成30年度に溶存炭酸濃度およびpHを変化させた系でNdの吸着実験を行い、平成31年度にはYbについて行う。実験条件は当初の予定通りpHを4から12まで、要存炭酸濃度を1 mMから10 mMまで変化させる。様々な分析条件下で精密に測定した固液間での吸着時の同位体分別をプロットすることでpHと溶存炭酸濃度が与える関係性を数式化する。
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Causes of Carryover |
調達方法の工夫などにより当初計画より経費の節約ができた。本研究では研究計画2年目及び3年目に集中的に吸着実験を行う計画であり、実験に必要な物品費及び成果報告の旅費等が必要となることから、次年度以降に繰り越しを行った。なお研究費の繰り越しによる研究計画の影響はない。
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Research Products
(25 results)