2019 Fiscal Year Annual Research Report
Can we predict an unprecedented disruption of the equatorial stratospheric circulation in 2016?
Project/Area Number |
17K18816
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
河谷 芳雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 主任研究員 (00392960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 真吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), センター長代理 (50371745)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 赤道準2年振動 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年1月、西風位相が下降している最中の高度22km付近に突如東風が形成され、西風が上方伝播し始める、赤道準2年振動(QBO)崩壊現象が観測史上初めて起こった。QBO崩壊現象は既存の気候モデルで再現できた報告は無い。この現象を再現するために、中間圏・下部熱圏を含む水平解像度60km、鉛直解像度300mという高解像度の大気大循環モデルJAGUARを用いて実験を行ってきた。 昨年度までに成層圏QBO崩壊現象の再現実験を行い、高度40hPaでQBO西風位相の中に東風が形成されるという、QBO崩壊の再現に世界で初めて成功したが、上部成層圏でのQBO西風位相の上昇はできなかった。さらに初期値を変えた多数の追加アンサンブル実験を行ったところ、多くのケースでQBO崩壊現象の再現に成功した。モデル中で表現される大気重力波の振る舞いを調整したところ、20hPa付近の西風位相の上昇が再現できるケースがあることも分かった。 今年度は特にQBO崩壊現象の延長再予報実験に取り組み、季節予報可能性について調査した。その結果、QBO崩壊現象に先んじて生じた中部成層圏のQBO東風シアー領域の上昇については、成層圏ブリューワー・ドブソン循環に伴う赤道上昇流が本質的な役割を果たしたことが分かった。またQBO崩壊現象は12月1日を初期値として開始した延長再予報実験では再現できないのに対して、1月1日を初期値とした場合には再現できたことから、季節スケールの予測可能性を持たない現象であったことが示唆された。
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