2017 Fiscal Year Research-status Report
Laser irradiation-induced micro pillar generation and its application to the fabrication of next-generation Li-ion battery
Project/Area Number |
17K18833
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
閻 紀旺 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 教授 (40323042)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | リチウムイオン電池 / 電極材料 / 単結晶シリコン / 微粒子 / マイクロピラー |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,電子機器の消費電力の増加やスマートハウス,電気自動車などへの応用に伴い,リチウムイオン電池の高容量化が求められている.そのため,従来の炭素電極の代わりに,高容量化の見込めるシリコン(Si)電極の研究が世界中で進められている.しかし,Si負極の課題として,充電時の体積膨張が挙げられる.そのため,炭素負極に比べSi負極は電池自体の劣化が早くなり,電池としての寿命が短くなってしまうという問題がある.本研究では,集電体としての銅箔の表面に厚さ数十ミクロンの廃Si粉末を塗布し,ナノ秒パルスレーザ照射を用いて廃Si粉末を溶融させ,そして材料の自己組織化によって規則的なマイクロピラーを高速で生成させる.Siピラーの配列や分布密度などを制御することで優れた機械的・電気的特性を有するシート電極を創製し,これまでになかった画期的なLiイオン電池の製作を試みる.H29年度では,主に以下の項目について研究を行った.(1)高速レーザ照射装置の構築:ナノ秒パルスNd:YAGレーザにガルバノミラーを搭載し,XY方向に高速スキャンできる装置を構築した.(2)廃Si粉末の均一塗布方法の検討:安定したマイクロピラー生成を得るにはSi粉末の均一塗布が非常に重要であるため,廃Si粉末に有機溶媒を混ぜて粉体ミキサを用いて分散させ,様々な厚さで集電体である銅箔表面へ塗布した.また,その時の塗布と乾燥方法および条件の最適化を行った.(3)Siマイクロピラー生成メカニズムの解明:基礎実験として,銅箔へ異なる厚さで塗布した廃Si粉末のレーザ照射実験を行い,レーザ照射で生成したナノ粒子やマイクロピラーの大きさや性状を走査電子顕微鏡や透過電子顕微鏡などを用いて観察し,照射条件による影響を特定した.さらに,高速カメラを用いてマイクロピラーの生成過程をリアルタイムで観測した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H29年度では,高速レーザ照射装置の構築に成功し,廃Si粉末の均一塗布方法の最適化も実現できた.さらにSiマイクロピラー生成メカニズムの解明についても着実に進んでいる.したがって,本研究の必要な装置作成,試料作成およびレーザ照射メカニズムの解明などについて成果が得られており,本研究はほぼ順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では,これまでの基礎研究の成果を踏まえて,シミュレーションを用いたSiマイクロピラー生成機構の解明とマイクロピラーの構造分析および機械的特性の評価,そしてLiイオン電池負極としてのSiマイクロピラーの電気的特性評価などを行っていく予定である.
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Causes of Carryover |
当初計画していたレーザ装置(297万円)の納期が3月末となり大学内で事務手続きが困難との判断をいただき、翌年度分として使用することとなった。 この装置はデジタル方式のガルバノミラー駆動機構を利用したレーザ走査システムである。高精度と高速という2つの大きな特徴を持ち、研究の進行に強力なサポートとなり必要不可欠である。その設計においては精度の高い技術と安全性が複数求められる。研究を進めていく中で、設計に十分な時間と労力を要し最適な条件の装置を決定するに至り、このシステム構築が順調に進んでいる。
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Research Products
(5 results)