ヤブガラシの把持パターン分岐メカニズムの解明と機械工学への応用

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K18851
• Research Institution: Kyushu University
• Principal Investigator: 斉藤 一哉 九州大学, 芸術工学研究院, 講師 (40628723)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 新山 龍馬 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (00734592)
• Project Period (FY): 2017-06-30 – 2021-03-31
• Keywords: ヤブガラシ / スマート構造 / 生物模倣工学

Outline of Annual Research Achievements

つる植物の1種であるヤブガラシは，”脳”も”目”も持っていないのに，自分が巻きつく対象に合わせて最適な形に巻きひげを変形させて把持している．工学的観点からこのシステムの最大の謎は，「ヤブガラシ自身は掴むものの全体形状を知らないはずなのに，何故対象に最適な把持パターンを選択できるのか」と言う点に集約される．複雑な情報処理システム(脳)を持たないヤブガラシは，単純な知覚(接触判定)と応答(曲率の生成)の繰り返しだけで，最適な把持パターンを自己組織化的に選択しているはずである．本研究課題は，工学者と植物学者が連携して上記の謎の解明に挑み，巻きひげの高度な自律最適把持メカニズムを明らかにすることで，ロボティクスや医療デバイス等に応用可能な新しいスマート構造デバイスの創製を目指すものである．2019年度初めは研究代表者の所属変更(2019年1月1日より九州大学大学院芸術工学研究院講師に着任)に伴う，実験設備の再構築及び九大の関連分野の研究者との新たなネットワーク構築に注力した．本年度が最終年度の予定であったが，学内の若手研究者海外派遣プログラムに採択され2019年5月から2020年1月までオックスフォード大学に留学したため，予定していた実験を実施できなかったことから，2020年度まで延長申請を行った．

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究代表者の所属変更に加え，学内の若手研究者海外派遣プログラムのため2019年5月から2020年1月までオックスフォード大学へ留学したため，最終年度の夏に予定していた実験を行えなかった．この現状を考慮して研究期間を2020年度まで延長した．

Strategy for Future Research Activity

基本的に申請書に記載の最終年度の計画通りに進める．2020年度は最終年度に当たるため，これまでの研究成果の論文化に加え，植物型ロボットアームの開発に取り組み，工学応用の道筋をつける．

Causes of Carryover

2019年5月～2020年1月まで英国オックスフォード大学に留学したため，当初予定していた最終年度夏の実験を行えなかった．そのため研究期間を1年延長し，2020年度に当初予定していた最終年度の研究計画を遂行することとしたため，次年度使用額が生じた．