2018 Fiscal Year Research-status Report
Creation of spin semiconductor solar energy conversion device
Project/Area Number |
17K18870
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田畑 仁 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (00263319)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | エネルギー変換 / 太陽光 / スピン秩序 / 極性制御 / 光水分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
・スピン太陽電池による有効電化蓄積機能付与、およびスピン三重項利用による高効率化に関する研究を実施した。 先行実験(APL, 103(2013) 232404, APL, 99 (2011) 242504、Fe2O3およびFe3O4薄膜において、p, n伝導に世界に先駆けて実証)の成果をもとに、p型層が磁性半導体からなるpn結合において光照射を行うと、スピントンネリングの整流効果によりスピン蓄積が期待され、非磁性pn結合より高効率の起電力が予測された。 さらに、従来にない新しいアプローチとして、Fe3+の持つ大きなスピン(S=5/2)の秩序制御により、磁気抵抗異方性制御(光キャリア輸送能向上)、並びに格子歪誘起結晶場による三重項状態を活用した励起キャリア長寿命化を試み、電子-正孔分離効率の向上による高効率化を図った。しかし酸化鉄および酸化物磁性半導体においては、太陽光エネルギー変換における磁場効果は殆ど観察されなかった。 発光過程で交換交差(1重項から3重項への変換)が有効に作用する有機材料や、スピンおよび双極子がカップリングしたマルチフェロ材料の検討が必要であることが明らかとなった。 ・極性結晶層による水素発生(水の直接光分解)の実現に関する研究を実施した。 α-Fe2O3単独では伝導帯側の還元電位が水分解電位より低いため、水素発生には外部電圧印加(0.5V程度)が必要である問題を解消するため、類縁鉄酸化物のウスタイトFeOとのヘテロ接合や、極性材料(例えばP63/mc)ZnOあるいは(Zn, Mg)O、(Zn, Co)Oの自発分極、ピエゾ分極の内部バイアス電圧印加効果により、外部からの電圧印加なしで水素を発生させる実験を行い、外部電圧印加なしで僅かではあるが光水分解が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って実験を行い、順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
スピン太陽電池による環境発電素子の実現および磁場制御に向けて、発光素子において磁場効果(交換交差:スピン1重項->3重項変換)が実証されている有機材料に茶宇k目視、有効電荷蓄積機能付与、およびスピン三重項利用による高効率化に関する研究及び極性結晶層による水素発生(水の直接光分解)の実現に関する研究を推進していく予定である。 さらに、強磁性と強誘電性を併せ持つマルチフェロイック鉄酸化物BiFeO3を用いた太陽光水分解光電極(光電気化学セル)の特性とその電場・磁場制御について研究を推進する。約2.2eVのバンドギャップエネルギーを有し、高い可視光応答性が期待されるBiFeO3を用いた光電気化学セルに着目している。プレリミナリーな実験において、BiFeO3のセルに可視光を照射すると光電流が発生し、BiFeO3表面上では光照射で生成した正孔が水を酸化して酸素を発生し、対極(白金)側では電子による還元反応によって水素が発生することを確認している。これは通常のn型半導体を用いた光電極と同様の挙動であるが、BiFeO3のセルではポーリング処理によって光電流値が変化することを示すものである。ポーリング処理によって誘起された特有のドメイン構造と自発分極が電子-正孔対の空間分離を促進(または阻害)するためであると考えられる。ポーリング処理後に磁場(1テスラ)を引加することによって、光電流が僅かに増大することが確認できている。この現象は分極が無い状態では起こらないことから、スピンと双極子のクロスターム効果(電気磁気効果:M-E効果)の寄与を示唆しており、スピン太陽電池として大変有望であると考えられる。
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Causes of Carryover |
経費削減により予定より実験にかかる費用が削減できたため。
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Research Products
(52 results)
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[Journal Article] Control of dipole properties in high-k and SiO2 stacks on Si substrates with tricolor superstructure2018
Author(s)
Hotta Yasushi, Kawayama Iwao, Miyake Shozo, Saiki Ikuya, Nishi Shintaro, Yamahara Kota, Arafune Koji, Yoshida Haruhiko, Satoh Shin-ichi, Sawamoto Naomi, Ogura Atsushi, Ito Akira, Nakanishi Hidetoshi, Tonouchi Masayoshi, Tabata Hitoshi
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Journal Title
APPLIED PHYSICS LETTERS
Volume: 113
Pages: 012103(1-5)
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] p型強磁性半導体(Ga,Fe)Sbの価電子帯バンド構造と不純物バンド2019
Author(s)
武田 崇仁, 鈴木 雅弘, L. D. Anh, 野中 洋亮, T. Schmitt, 吉田 訓, 坂野 昌人, 石坂 香子, 竹田 幸治, 藤森 伸一, 関 宗俊, 田畑 仁, 藤森 淳, 田中 雅明, V. N. Strocov, 小林 正起
Organizer
日本物理学会 第74回年次大会(2019年)
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[Presentation] p型強磁性半導体(Ga,Fe)Sbの価電子帯バンド構造と不純物バンド2019
Author(s)
武田 崇仁, 鈴木 雅弘, L. D. Anh, 野中 洋亮, T. Schmitt, 吉田 訓, 坂野 昌人, 石坂 香子, 竹田 幸治, 藤森 伸一, 関 宗俊, 田畑 仁, 藤森 淳, 田中 雅明, V. N. Strocov, 小林 正起
Organizer
2019年 第66回応用物理学会春季学術講演会
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