2017 Fiscal Year Research-status Report
Energy harvesting by electro-chemical reaction in reinforced concrete for sensor network system
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17K18875
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
北川 章夫 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (10214785)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 環境エネルギー / センサーネットワーク / 鉄筋コンクリート / 環境モニタリング / 社会インフラモニタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄筋コンクリート内の鉄筋の腐食に伴って発生する電気エネルギーをキャパシタに蓄積し、センサおよび無線ネットワークデバイスの電源として利用できるようにすることを目的として、平成29年度は、鉄筋コンクリートの発電特性とで電源回路の構成について研究を実施した。 鉄筋コンクリートが電力を発生する量は、鉄筋コンクリートの構造よりも、環境に強く依存することが明らかになった。この結果から、発生電力が環境に依存して変動しても、エネルギーを蓄積して安定化するための回路の設計が重要であることが分かった。 鉄筋コンクリートは、温度と水分によって発生電力が大きく異なる。与えた水分量が多いほど大きい電力が持続して発生する。温度は、高いほど化学反応速度が高くなるため、当初は、高温での発電量が大きいと予想していたが、実験の結果、摂氏15度程度で最も発電電力が大きいことが分かった。この原因については、水分の内部への拡散と鉄の化学反応によるモデルで説明できると考え、現在検討を行っている。 鉄筋コンクリートの電流-電圧特性の測定結果から、開放電圧および最大電力点電圧は環境の影響を受けにくい。しかし、短絡電流が環境によって大きく変化し、蓄電および安定化回路が必要である。また、電圧が0.2V程度と低いため、蓄電した電気エネルギーで、マイクロコントローラや無線通信回路を直接駆動することはできない。このため、各種の電源回路を試作して実験した結果、3.3Vへの昇圧と安定化に適した回路構成を考案した。現在、電力変換効率の精密測定を行っており、結果が出たところで、研究成果の発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度計画における目標として、「電力を発生しやすい鉄筋コンクリートの構造と作り方」、「鉄筋コンクリートの電力を効率的に蓄積して安定化する電源回路の設計法」を目標としていた。塩分濃度や腐蝕程度の異なる鉄筋コンクリート試供体の発電特性のデータの収集を行った結果、電力を発生する量は、鉄筋コンクリートの構造よりも、環境に強く依存することを明らかにした。この結果を受けて、発生電力が環境に依存して変動しても、エネルギーを蓄積して安定化するための回路の設計法についても明らかにした。以上の研究成果により、平成29年度の目標は達成されている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の目標は達成されたため、平成30年度は、当初の計画どおり、鉄筋コンクリート電池で動作する無線センサネットワークを試作し、データ取得量の評価および鉄筋コンクリート電池の劣化特性評価を実施する。これまでの研究で、市販の半導体部品を使用して電源回路を動作させることに成功しているが、さらに、発生電力の高効率化を目指して、専用LSIの開発も実施したい。
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Causes of Carryover |
学生が修士論文課題として実験の一部を手伝ってくれたため実験補助の謝金を使用しなかったこと、研究室で常時保有している標準的な電子部品を実験のスピードアップのために使用したことから差額が発生した。次年度使用額は、消費した常時保有電子部品の補充にあてたい。
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