2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18878
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 剛志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (50303665)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 聡 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 教授 (60151742)
大島 大輝 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 助教 (60736528)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 電子・電気材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はGdFeCo,GdFeCo/TbFe,Co/Pt,Co/Pdなど垂直磁気異方性を示す材料系において,その膜構成の変化によるスピンダイナミクスの変化を調べた.GdFeCo膜は補償組成付近でg係数の増大と有効ダンピング定数の増大が観測された.GdFeCoに1 nm以下程度の膜厚のTbFeを隣接させることで,ダンピング定数が増加し,GdFeCo (10 nm)で0.05程度であった値がGdFeCo (9 nm) / TbFe (1 nm)では0.2程度と4倍程度に増加することが分かった.なお,この増加は磁気異方性の分散によるものではなく,Gilbertダンピング定数の増加に起因することも確認している.Co/Pt系積層膜ではCo層厚の増加,Pt層厚の減少によりダンピング定数が減少することが分かった.また,Co/Pd積層膜ではCo/Pt積層膜に比べダンピング定数が小さい傾向も得られた.以上からCo/貴金属積層膜のダンピング定数は貴金属層でのスピン緩和に支配されることが考えられる.本研究で検討する超短パルス光誘起スピン流磁化反転を観測するためには,これまでの時間分解磁気光学効果の測定系を改造する必要がある.本年度,この改造のため新たに電磁石を購入し,光学系の改造を行っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度において,超短パルス光誘起スピン流磁化反転を観測を行うための時間分解磁気光学効果測定系の改造を行い,透過モードでのpump光照射による磁化歳差運動の変化を観測する予定であった.しかしながら,透過モード測定の重要な部品である電磁石の小型化と磁界印加角度を広げるための設計変更により,その作製が遅れ,計画全体が3ヶ月程度遅れた.なお,現在はこの新しい電磁石を用いた光学系の構築を行っており,計画の遅れは十分取り戻せるものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は強磁性/非磁性/強磁性積層構造への超短パルス光を照射し,それにより生じるスピン流による磁化歳差運動の変化および磁化反転を観測する.これまでの検討でGdFeCo膜は5 nm以上の膜厚で垂直磁気異方性の大きな膜が得られることが分かっており,本検討においてはGdFeCo層厚が薄い方が良いと考えられる.そこで,GdFeCo (5 nm) / Cu (30 - 50 nm) / Ni (5 nm)といった膜構成を作製し,光誘起スピン流による磁化反転の可能性を調べる.さらに,パルスピッカーを用いて単一光パルスを生成し,単一パルス照射による電流レススピン流磁化反転の可能性を調べる.
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Research Products
(8 results)