2017 Fiscal Year Research-status Report
位置シフトされた超高繰り返し電磁パルス列生成の探索的研究
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17K18884
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 和利 九州大学, システム情報科学研究院, 教授 (10563827)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | フォトミキシング / テラヘルツ波 / 高繰り返しパルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の構成は、光通信用として実績のある半導体レーザからの光波に、光変調器で50GHzの変調をかけ、50GHz間隔の光コムを生成する。光コムから光分波器で、使用する5光波をそれぞれ別々の光路に取り出すもので、光分波器は光通信用として開発されたものをベースに先行研究(光通信実験)において我々らが改良したものを使用する。H29年度は、3つ以上の光波において精密な光波長と光位相差の安定化が可能となれば、フォトミキサとして用いるUTC-PDの二乗検波特性を利用して超高繰り返し電磁パルス波の生成が可能であることをシミュレーションにより確認した。シミュレーション結果では、3光波では波形周期1.0ps(1THzの逆数)に対してパルス幅はその1/3の0.3psとなりデータを乗せるためには十分に狭い幅が実現できた。さらに5光波では1/5の0.2psというように用いる光波の数に反比例してパルス幅が確実に細くなることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高繰り返し光パルス波を、フォトダイオード(UTC-PD)を用いて光電変換するテラヘルツ波パルスの生成法に関して、50GHz間隔の複数の光波を重ね合わせて高繰り返し光パルス波を生成した。実際に計画通り、生成したパルスは50GHzで繰り返し、シミュレーションで得られたパルス幅の理論値と測定値はほぼ一致しており、本測定法を用いた光パルス生成法が有効であることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は2THzを越える帯域のUTC-PDを使用し、3つ以上の光波から1THz繰り返しパルス波を生成する。1THz繰り返しパルス波を生成するための構成は、光通信用として実績のある半導体レーザからの光波に、光変調器で50GHzの変調をかけ、50GHz間隔の光コムを生成する。光コムから光分波器で、使用する5光波をそれぞれ別々の光路に取り出す。ここで光分波器は光通信用として開発されたものをベースに先行研究(光通信実験)において我々が改良したものを使用する。各5光波は最終的に光アンプで増幅されたのちにフォトミキサであるUTC-PDで二乗検波され、1THz周期のパルスとなりアンテナから放射される。一方、光分波器の手前から導入したパイロット光は5光路に分岐され、再び合波された後に取り出されて光位相差検出器により5光路のお互いの位相差が検出される。これら位相差が一定となるようにコントローラが各光位相調整器を動作させることで各5光波の互いの位相差を安定化する。本方法はすでに2光波間の位相差安定法として技術が確立され我々の先行研究において300GHzのコヒーレント正弦波生成が実現されている。本研究ではこの技術を3~5波に対応する技術として発展させる。 技術課題としては、(a)2THzの帯域にわたる光コム発生、(b)3~5光路に分岐された光干渉計からのそれぞれの光路の組み合わせからの干渉強度の抽出、(c)各光路の位相安定化を行うための複数重なり合った制御ループの制御法の確立である。
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