2018 Fiscal Year Research-status Report
スピントロニクス発振素子を用いたニューロコンピューティング実現のための基盤構築
Project/Area Number |
17K18892
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
葛西 伸哉 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 磁性・スピントロニクス材料研究拠点, グループリーダー (20378855)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 自励発振素子 / ニューロコンピューティング |
Outline of Annual Research Achievements |
スピンホール効果を用いた高効率自励発振素子の構築と、それを用いたニューロコンピューティング実現のための基盤研究を行っている。まずスピンホール効果による純スピン流生成効率の評価において、スピントルク強磁性共鳴法について再検討を行った。前年度に観測したスペクトルの異常について、その物理的な起源を解明した。また、スピンホール効果を用いた磁化反転の検出を行い、磁化の安定性について、Dwell Timeを用いた評価が可能であることを示した。これに加え、直流電流下における磁化の準安定状態の観測、および自励発振の検出に成功した。特に自励発振状態は、励起強度に応じてシングルモードからマルチモードへの遷移を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の懸案事項であった、スピントルク強磁性共鳴におけるスペクトル異常について、その起源が解明したことについては一定の評価ができる。スピンホール磁化反転、および直流電流下における磁化の準安定状態の観測は、自励発振用試料を作製する上での副産物ではあったが、Dwell Timeを用いた磁化安定性の評価、という新しい手法の構築へとつながったという点で有意義である。併せて、スピンホール効果を用いた自励発振の検出に成功した。特に発振モードが励起強度に応じてシングルモードからマルチモードへの遷移を示すことが分かった。これはオシレーター系ニューロコンピューティングを実現する上で、重要な知見となりうる。
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Strategy for Future Research Activity |
自励発振素子の発振効率がまだ低いため、材料・構造の両面から素子特性の最適化を検討する。 併せて、マルチモードの発生起源を理解し、これを利用したコンピューティング手法の提案を行う。
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Causes of Carryover |
研究の遂行自体は順調であったが、自励発振素子におけるマルチモードは当初の想定外であり、その検証に時間を要している。次年度は物理起源の解明を含めて研究結果をまとめる予定である。
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