2018 Fiscal Year Research-status Report
RC造建物の劣化度合いを構造性能に反映させた耐久性能指数の提案
Project/Area Number |
17K18917
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
金久保 利之 筑波大学, システム情報系, 教授 (90261784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
カストロ ホワンホセ 琉球大学, 工学部, 教授 (70593391)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート / 経年劣化 / 腐食 / ひび割れ / 中心圧縮実験 / 付着実験 / 破砕剤 / 座屈 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鉄筋コンクリート(以下、RC)造建物の劣化度合いを的確に評価した新たな構造性能指標を提案することを最終目標とし、(a)既存建物の耐震診断におけるコンクリートの中性化および鉄筋腐食に関する資料の精査と診断に用いられた経年指標および構造耐震指標データベースの構築、(b)電食により変状させたRC造建物の鉛直部材の繰返し曲げせん断応力下における力学性能の確認、(c)材料、要素レベルでの暴露試験体の力学性能の確認、(d)既存建物の耐震診断資料を用いた耐久性能指数の計算と問題点の洗い出し、を行っている。本年度はこれらの中で、(b)および(c)を行った。 (b)に関して、電食ではコンクリートに生じるひび割れをコントロールすることが難しいことから、破砕剤を充填したアルミパイプを実験に用いることを想定して、2018年度は破砕剤充填パイプによりひび割れを生じさせたRC柱の中心圧縮実験およびリブ加工したパイプを用いた付着実験を行った。両者ともに破砕剤を充填することにより補強筋内圧によるコンクリートひび割れを生じさせることが可能であることがわかり、中心圧縮実験ではポストピークの軟化勾配が発生ひび割れ幅に影響を受けること、付着実験では付着荷重が発生ひび割れ幅に顕著に影響を受けることを把握し、ひび割れ幅による付着強度低減度合いを算定する評価式を求めた。 (c)に関して、沖縄県の実構造物から採取した腐食鉄筋のプロファイルの取りまとめ、および座屈性状を把握する圧縮実験を行った。2018年度は、柱主筋に用いられていた太径の腐食鉄筋のサンプルを得ることができた。圧縮実験の結果、太径の腐食鉄筋の場合も従来と同様に最小断面積減少率により、座屈強度や応力-歪関係を予測できることが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、2018年度に、電食により変状させたRC部材の繰返し曲げせん断実験を行う予定であったが、電食ではコンクリートに生じるひび割れをコントロールすることが難しいことから、2017年度途中より破砕剤を充填したアルミパイプを実験に用いることを想定した実験を行っている。2018年度は、曲げせん断実験を行うための確認実験として、破砕剤充填パイプによりひび割れを生じさせたRC柱の中心圧縮実験およびリブ加工したパイプを用いた付着実験を行った。なお、中心圧縮実験は、当初の計画でも予定していたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の実験により、破砕剤を充填したアルミパイプ用いてRC部材の繰返し曲げせん断実験を行える目処がついたため、加力実験を行う。特に、2018年度に行った付着実験により破砕剤充填パイプにより発生したひび割れが付着強度に顕著な影響を与えることが判明したため、付着余裕度が1程度の部材を計画し、繰返し加力実験を行う。 同時に、当初計画の、既存建物の耐震診断資料を用いた耐久性能指数の計算と問題点の洗い出しを行っていく。ひび割れが生じたRC部材の中心圧縮実験、付着実験および部材の繰返し曲げせん断実験結果から、メカニズム的知見に基づいた強度指標および靱性指標の提言が可能になると考えており、これらの性能評価指標を用いて、既存ひび割れを考慮に入れた耐久性能指数の提案を行う。
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Research Products
(7 results)