2022 Fiscal Year Annual Research Report
Experimental Study to Obtain Living Space Design Guidelines that Contribute to BPSD Alleviation and Stability in Elderly with Mild Dementia
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17K18923
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, デザイン・建築学系, 教授 (30252597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健二 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (30363609)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2023-03-31
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Keywords | 軽度認知症 / 住環境 / 在宅 / 自立 / 実装 / 介護負担 / 外部空間 / 服薬環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
自宅での生活を維持することが困難となると考えられる、認知症を発症した高齢者(=軽度認知症高齢者)を対象とし、(1)本人が、自宅での自立的な生活を可能な限り維持すること、(2)家族の介護の負担を軽くし、在宅介護の限界を遅らせること、を目標とし、住環境整備の観点から可能なアプロー チとして、本人の中核症状の発生に伴う周囲や自身との関係のもつれから起こると考えられる「BPSD(=行動・心理症状)」の安定・緩和と、それにともなう介護負担の緩和を狙いとして。それに寄与すると考えられる以下の住環境構成要素を実態調査から特定し、主に小規模多機能型居宅介護施設での実装実験によりその効果検証を行ってきた。 その結果、BPSDの有意な変化は確認することはできなかったが、①服薬管理環境において飲み忘れを軽減するためには、薬に対して認識・接触する頻度を高めること、②見守り環境において、介助者が軽度認知症高齢者に直接接触しなくとも目視で見守りができる物理的環境を整えることが、介助者の介護負担を軽減すること、③外部環境との接触機会を持つことが、行動面において無為や居眠りの時間を減少させ、会話などの積極的な行動を増加させること、を確認した。 今年度は、認知症者の会話は使用する単語の品詞の頻度に特徴があるという既往研究の知見を手掛かりに、外部環境との接触機会を持つことの効果を、会話内容の変化から探った。その結果、接触機会の有無状況下の会話の比較から、認知症者が多く使用するとされる特定の品詞が減少する変化が見られ、軽度認知症高齢者の言語能力について一定の影響を及ぼす可能性を示すことができた。 ただし、上記の知見は短期間かつ少数事例に基づいての考察であるため、複数の施設や軽度認知症高齢者について継続的な調査を行う必要がある。
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