2017 Fiscal Year Research-status Report
限られた離散点データによる大規模構造物の座屈後変位応答上限値の簡易推定法の構築
Project/Area Number |
17K18925
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
岩佐 貴史 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (90450717)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 建築構造・材料 / 座屈モード / 応答予測 / 確率論 / 離散点計測 / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,大規模な構造物の座屈後の変位応答上限値を限定された離散点計測データから推定する方法論の構築に取り組んでいる. 2017年度は,1.円筒シェルの座屈現象を適切に取得できる計測実験装置の製作,2.円筒シェルの座屈後形状を画像計測法により取得,3.皺の生じた薄膜の変形形状を画像計測法により取得,4.座屈後形状の空間分布が従う確率モデルの検証の4項目を計画しており,特に2,3,4は次年度以降継続して行うテーマとなっている. 1.に関しては,圧縮試験機によりPET素材の円筒容器を座屈させ,その形状を格子投影法で取得する計測実験装置を構築した.2.に関しては構築した計測装置を用いて円筒容器の部分形状を計測し,ICP法で結合することで円筒容器の座屈後形状を全領域で復元することを試みた.しかし,カメラ配置の影響で座屈後形状が光軸方向に大きく変形する箇所を部分的に取得できない領域が生じたため,現在はカメラ配置等の設定条件を検討している.3.に関してはDLT法により膜厚,膜寸法の異なる複数の薄膜の変形計測を行うとともに並行して有限要素解析を実施した.そして,これらの結果から対象としたモデル(せん断負荷を受ける矩形膜モデル)では皺の生じた膜面の面外変位の空間分布は皺の形状が変化しても類似性が見られることを確認した.この結果は次年度開催される国際学会にて発表を予定している.一方,FEM解析の結果を基に皺の生成メカニズムについて検討したところ,皺の生成消失過程には面内ひずみとの間に一定の規則性があることを発見し、その規則性を表すスケール則を導いた.この結果に関しては国際誌に投稿し掲載が決定されている.また,座屈モードと振動モードの類似性を介して,同手法を振動予測へ拡張する方法についても検討し,その結果の一部を国内学会にて発表した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計測実験装置を構築し形状計測まで行うことができた.計測結果からカメラの設定等再度検証すべき点が生じたものの,ICP法による計測データの結合処理方法,FEM解析といったそれ以外の実施項目は概ね順調に進展しており,当初の予定から大幅な遅れはないものと判断している.
|
Strategy for Future Research Activity |
円筒シェル容器の座屈後形状計測を引き続き実施し,計測データから座屈後形状の空間分布が従う確率モデルについて検討していく.また,有限要素解析により座屈モード形状を求め空間分布が従う確率モデルを理論的な視点から検討していく.これらの結果を踏まえ,限られた離散点データから座屈後変位応答の最大値を推定する方法論の構築に取り組んでいく.
|