2019 Fiscal Year Research-status Report
子どもの高い光感受性と概日リズムを考慮した夜の光環境の指針開発に向けた研究
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17K18926
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 重和 九州大学, 芸術工学研究院, 教授 (00292376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻村 誠一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (10381154)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 光環境 / 水晶体 / 子ども / メラトニン / 概日リズム / 照明 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に開発した水晶体光透過率の測定装置によって得られた値の妥当性を検証するための実験を行った。具体的には、20代から60代の協力者を対象に、開発装置による測定と眼科医による水晶体の混濁程度の判定をそれぞれ行い、比較検討を行った。さらに、瞳孔の状態(散瞳させているか否か)が開発装置の測定結果に与える影響についても調査した。眼科医による判定との比較検討の結果、両測定値の間に強い相関関係が認められ、開発装置による測定結果の妥当性が確認された。また、開発装置による測定結果は瞳孔の状態が異なっていたとしても変化しないことが明らかとなり、本装置を用いることで散瞳なしでも信頼性の高い結果が得られる可能性が示された。 次に、夜間の光によるメラトニン抑制率を子ども(平均9.2歳)と大人(平均40.9歳)で比較する実験を行った。この時、開発装置による水晶体光透過率の測定や瞳孔径の測定も行い、眼光学特性とメラトニン抑制率との関係性について調査した。水晶体光透過率や瞳孔径は子どもの方が大きいことが確認され、これらの眼光学特性からメラトニン抑制率は子どもの方が約1.43倍大きいと推定された。実際のメラトニン抑制率は約1.52倍子どもの方が大きく、推定値と概ね一致していた。つまり、メラトニン抑制率の年齢差が水晶体の光透過率や瞳孔径の違いによって説明される可能性が示唆された。さらに、これらの被験者に対して、光の視覚的な影響として、照度の異なる光条件下での色視力及び主観的な印象(明るさ感、快適感など)についても調べた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
水晶体の光透過率の測定装置の特許出願を行った関係で、成果の公表(学会発表や論文投稿など)がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験で得られた三つの成果、1)水晶体の光透過率の測定装置に関する研究、2)子どもと大人で夜の光曝露によるメラトニン抑制と水晶体の光透過率を調べた研究、3)子ども、大人、高齢者の色視力の研究について、学会発表と論文投稿を行う。
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Causes of Carryover |
特許申請のため研究成果の公表が遅れたため。
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