2019 Fiscal Year Research-status Report
Gossamer宇宙構造物を対象とした革新的シミュレーション技術の創出
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17K18941
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中篠 恭一 東海大学, 工学部, 准教授 (60408028)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | Isogeometric解析 / 膜構造物 / 張力場理論 / 薄肉シェル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績を項目別に述べる. 1.IGA計算コードの効率化: 昨年度開発した膜面用IGA計算コードはMatlabスクリプトで記述されており,計算コストの高いシェルモデルに基づくリンクル解析には不向きである.そこで上記のIGA計算コードをFortran言語に移植し,計算効率の高い計算コードを開発した.本計算コードでは,離散モデルをマルチカラー化することにより剛性マトリクスの算出を並列実行するものとなっている.合わせて剛性方程式の求解部も並列化してあるが,現在使用している数値計算ライブラリでは理想の並列化効率が達成できていない.この問題は次年度において解消する. 2.MITCシェル有限要素コードの開発: 極薄柔軟膜面に発生するリンクルに関しては,IGAとFEMの結果を相互比較して解析性能の検証を実施する予定となっている.そこで本年度はリンクルの解析に関して定評のあるMITCシェル要素を既存の有限要素解析コードに組み込んだ.検証問題を通じて基本性能の確認は行っているが,同要素を用いたリンクル解析は次年度に実施する予定である. 3.IGA-C法に関する研究調査: 上記と並行し,ごく近年さかんに研究されているIGA Collocation法(IGA-C)が,本研究課題の遂行にあたっても非常に有効である可能性が判明した.本年度はIGA-C法に関する関連研究を幅広く調査し,本研究課題への適応可能性を考察した.興味深い研究項目として,高次NURBS関数で表現されたシェルモデルにIGA-Cを適用した場合のリンクル解析性能の評価があり,これを次年度に実施する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の達成項目は,1) 曲げ剛性を無視した膜モデルにおける張力場解析,2) 曲げ剛性を無視した膜モデルにおけるcrease解析,3) 曲げ剛性を考慮したシェルモデルにおけるリンクル解析,の3項目である.当初は本年度中に上記3項目を達成し,本研究課題は終了となる予定であった.現在,最後の1項目が未達成であり,その意味で研究計画は遅延している.ただし,本研究課題を通じて当初予定計画に含まれていなかった項目も達成されており,以上を勘案して,現在までの進捗状況としては「やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度開発したIGA計算コードにKirchhoff-Love型のシェルモデルを実装してリンクル解析を実施する予定である.また,本年度開発したMITCシェル有限要素モデルによるリンクル解析と上記IGAコードによるリンクル解析の双方を実施して,両者の解析性能を定量比較する.現在,極薄膜面に発生するリンクルの解析性能に関しては,シェルモデルのNURBS次数が大きく影響するものと予想している.そこで,リンクル解析においてはIGA離散モデルの自由度数に加えて,NURBS次数にも注目し,これらの2パラメータがリンクル解析性能に与える影響を調査する.IGAシェルモデルにIGA-Cを適用した場合のリンクル解析性能も調査する予定である.
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」で述べた通り,未達成の研究項目があることから本研究課題は事業期間を1年延長することとなった.所要額の差異は,未達成の研究項目があるためであり,残額は投稿論文の英文校正費,ならびに計算効率向上のための数値計算ライブラリの購入に充当する予定である.
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