2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K18943
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
松本 純 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 宇宙航空プロジェクト研究員 (60791887)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | スラスタ / 亜酸化窒素 / 超臨界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,亜酸化窒素を推進剤として用いる超臨界スラスタの研究開発の一環として,(i) 自己分解を生じさせる触媒反応部, (ii) 液体亜酸化窒素をガス化させるためのヒーター, の要素試験及び性能評価を実施した.また,これらの試験を通じて亜酸化窒素の安全な取扱い手法を確立した. (i)については,ハニカム触媒及び粒状触媒 (いずれもロジウムを担持)の2種を使用した分解反応可視化試験を実施した.その結果,ハニカム触媒を使用した場合はガス亜酸化窒素との接触面積が小さすぎて分解反応を持続できないこと,粒状触媒を使用した場合は連続的な分解反応によりターゲットとなる分解後温度(>500℃)を達成できることが実験的に示された.粒状触媒を用いた試験で取得した分解反応開始位置及び過渡状態の特性は,次年度に行うシステム設計条件そのものである. (ii)については,銅管とニクロム線を組み合わせたヒーターサブシステムを構築し,取り扱いが用意な複数種類の高圧ガス(GN2, R600a, R116)を用いた温度上昇特性取得試験を実施した.この試験により,必要電力,温度上昇に対するヒーター長さの寄与,及び所望の温度上昇を得るためのレイノルズ数に対する制約に関する知見を得ることができた. これらは,本研究が掲げた「安全で・Ispが高く・連続噴射可能で・低コストな」亜酸化窒素超臨界スラスタシステムの構築実現に直接的に寄与する成果である.また,本研究で得られた成果は,学会で複数回発表し,当該分野において知見の共有を図った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案する超臨界スラスタの主要構成要素である触媒反応部,ヒーターについて,それぞれの特性を取得し,スラスタシステムが設計できるまで原理解明が進んだため.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は,超臨界スラスタの主要構成要素である触媒反応部,ヒーターの特性を取得した.次年度は,この成果と,既に理解が進んでいる面積比付ピストン昇圧器(Charger)を組み合わせたスラスタ全体を構築し,システム試験を実施することで,提案する超臨界スラスタの成立性を実験的に実証する.また,これらの成果の論文化作業及び学会発表を実施する.
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Causes of Carryover |
供試体製造費を想定よりも抑えることができたため. 次年度使用額については,学会発表のための旅費として,適切なタイミングで有効に使用する.
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