2017 Fiscal Year Research-status Report
離散事象システム理論によるデータに基づく離散最適化モデルの自動生成
Project/Area Number |
17K18951
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西 竜志 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (10335581)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | データ科学 / 離散最適化モデル / 離散事象システム / 人口知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は離散最適化問題のモデルを推定し, そのモデルを離散事象システムに変換することで, モデル構造の抽出やモデル縮約を行って, 与えられた仕様を満たす妥当な最適化モデルを構築するための離散事象システム理論を用いたデータに基づく離散最適化技法を創成することである. 平成29年度はデータに基づく離散最適化モデルの同定手法の開発を目的として, 以下の3項目に関する研究を実施した. 具体的にはデータに基づく離散事象システムの同定手法に関する一般的な手法の一つであるブラックボックス同定手法を調査し,巡回セールスマン問題やナップサック問題などの基本的な離散最適化モデルの同定を試みた. 次に, スケジューリング問題の出力結果から制約条件を同定する手法について検討した. 得られた知見は以下である. 1. ブラックボックス同定手法を用いて, 入出力データから巡回セールスマン問題やナップサック問題などの基本的な離散最適化問題の同定を試みた. その結果, 従来のブラックボックス同定手法では入出力データが不足する場合に,すべての可能な組合せを列挙することが困難であることが判明した. 2. フローショップスケジューリング問題の各機械での処理に要する時間や各仕事の技術的順序が既知のもとで, 各機械での処理の開始時刻が与えられたとき, 各機械での容量制約を同定する問題を整数計画問題として定式化した. この問題に対する厳密解法と近似解法を提案し, これらの解法の妥当性を検証した. 3. 厳密解法は小規模問題では適用可能であるが, 大規模問題には適用が困難であることが判明した. 近似解法は実用的な計算時間で解を得ることができることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スケジューリング問題の制約条件同定に関する数理モデルと厳密解法, 近似解法の構成が完了したことからおおむね順調に進展しているといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は以下の手順で研究を実施する予定である. 1. データから推定された数理モデルから変換される離散事象システムのモデル解析を行うことにより, 離散事象システム理論の観点から, 到達可能性, 安全性, 健全性などのモデル構造の特徴づけを行う. 2. 離散事象システムの最大許容スーパバイザを導出することにより, もとの離散最適化問題で実行不可能となる状態を削除する妥当不等式を得る. また, ルール抽出によって得られた制約条件を満たすかどうかの検証問題をSPIN(Simple Promela Interpreter)などのモデル検査ツールを用いて解くことによって, 変換された離散事象システムが満たすべき仕様を満たすかどうかを判定する. 3. 大規模データから得られるモデルに対しては, モデルの共通部分を抽出し, システムを構成する各要素の解析から大規模システムのモデル構造を抽出する方法論を検討する.また,より少ないデータから得られるモデルで仕様を満たす場合は,不必要なデータや制約条件を削減することでモデルの縮約を行うことができるため, 不要なデータを削減や状態の遷移を制限し,モデルの大規模化を制限するための方法論についても検討する. モデル分類にはディープラーニングツールや離散事象システムの論理検証ツールとして, 形式手法によるモデル検査ツールSPINを導入する.
|
Causes of Carryover |
2017年度については数値計算用パーソナルコンピュータ,および最適化計算用ワークステーションの購入が別予算で調達が可能となり,研究調査旅費,および研究打合せについても近距離となったため,使用額に差が生じた.これらの差額分については,2018年度の執行計画を変更し,2018年度に国内および国外成果発表や国際共同研究,数値計算ツールやクラウドコンピューティング,シミュレーション環境の整備のために執行する予定である.
|