2018 Fiscal Year Research-status Report
株式市場の対称性の破れ度計測による完全データ駆動型相転移予測法の開発
Project/Area Number |
17K18959
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
高田 輝子 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (30347504)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 非対称度 / 相転移予測 / 投資家行動 / 株式バブル / データ駆動型 / ノンパラメトリック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、投資家集団が生み出す相転移現象としての株式バブルを対象にし、データから最大限の情報抽出を行うことにより相転移現象特有の統計パターンを明らかにし、それを利用した完全データ駆動的な高精度相転移予測を、特に「系の非対称度」に注目して、実現することである。 本年度の目標は、前年度に特定した相転移予測に有用な統計的パターンを用いて、NYSE指数の相転移予測を行うことに加え、追加購入データのクリーニングを行うことであった。 本年度は、突然の大きな価格下落パターンの予測については、二種類の予測システムを作成し、上記目標を達成した。①相転移予測1:機械学習を用いた非対称度やボラティリティーを含むモーメント指標を使った株価指数のトレンド方向予測により従来法を凌ぐ有効性を確認した(OCUWP2019)。②相転移予測2:ボラティリティー指標と投資家リスク回避度の双方を用いた相転移予測を行い、従来法を凌ぐ有効性を確認した(JAFEE2019)。 しかし、新規購入データのクリーニングについては、既存の高速クラスタマシンの不調に加え、2018年12月前後の大きな下落の発生を受けて購入データ期間を2019年1月分まで延ばしたこと、及び、データの取得方法とフォーマットが大幅に変更されたことを受けて、作業量と必要投入時間が想定よりも大きく増大してしまった。そのため、本年度は、NYSEのデータサーバからのデータ自動取得のためのプログラムを新規作成中の状態にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要欄に示した理由により、新規購入データのクリーニング作業については、当初計画よりも遅れている。しかし、研究実績の概要欄に示されたように、既存データを使った解析や予測については、本年度の当初目標を達成しているため、研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度前半においては、アップデートデータのクリーニングが想定以上の時間と労力を要するリスクを考慮し、まず、既存データを用いての研究をあらかた完成させる。市場平均指数の分析を優先させるが、個別株式時系列についても、市場平均指数向けの予測モデルが適用できるよう、プログラムを拡充し、試行的に適用しながら、システムの修正を行い、システムをロバスト化させる。平均株価指数と個別株価指数の相転移予測精度向上を目指すとともに、その過程で副産物として得られた発見についても、考察を行う。時間内にアップデート分のデータの自動集計及びクリーニング作業が完了した場合は、追加した3年分のデータを用いて、開発した予測モデルのout of sample testを行う。最終年度後半は、得られた結果を論文にまとめ、学会等で発表を行う。
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Causes of Carryover |
180,835円は、NYSE TAQ データ購入にあたり、為替リスクに備えて多めの前倒し請求を行ったために発生した残額である。次年度支給予定額10万円と合わせた280,835円は、最終年度に予定している研究計画と学会発表及び論文作成に必要最低限の額であり、不足の際は他の予算を合わせて執行する予定である。
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