2018 Fiscal Year Research-status Report
廃棄ナノマテリアルの生体影響と安全性評価に関する研究
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17K18960
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川西 優喜 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70332963)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 史説 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20275291)
宮丸 広幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80243187)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | ナノマテリアル / 毒性 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃棄後のナノマテリアル及びナノマテリアル含有製品の安全性評価のために、本年度は紫外線による劣化処理をナノマテリアルに施し、その毒性の変化を解析した。 炭素系ナノマテリアルである多層カーボンナノチューブ(MWCNTs)に紫外線(254 nm)を289,000 [J/m2]を照射した。線量率は4.4 [J/m2s]であった。この照射ナノマテリアルを用いてほ乳類培養細胞を使った遺伝毒性試験をおこなった。遺伝毒性は染色体異常誘発能を指標として評価することとし、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞株)を使用したin vitro小核試験を実施した。その結果、紫外線照射により遺伝毒性が増すことが判明した。無処理時の小核保有細胞出現頻度が 1.79%、溶媒対照 2.61%±0.23%であったのに対し、紫外線非照射MWCNTs 40 microg/mL処理で 4.89±0.48%と上昇した。これは既報通りMWCNTsが遺伝毒性をもつことと対応している。そして今回評価目的のUV照射MWCNTs 40 microg/mLでは頻度が 6.22±1.12%へと更に上昇した。紫外線照射で遺伝毒性が有意に増大したといえる(p<0.05)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
げっ歯類培養細胞を用いた生残率試験、in vitro小核試験をおこなうことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
なぜMWCNTsへの紫外線照射で遺伝毒性が増加したのか、原因を探る。紫外線の波長、線量を変化させた実験をおこなう。 多種のナノマテリアルとして、グラフェン、ナノマグネタイト、酸化チタン、酸化インジウムスズ、銀ナノ粒子、ナノクレイを新たな評価対象とする。 放射線・紫外線照射の他、燃焼、機械的粉砕、太陽光露光、紫外線照射などの劣化処理方法を増やして実施する。 細胞増殖率、小核誘導率のほか、DNA鎖切断の検出と定量、活性酸素種の検出と定量など毒性試験のエンドポイントを増やして解析をおこなう。 また毒性試験において細胞種の選択は重要である。産業曝露を想定し中皮主細胞ほか何種類かの細胞で毒性を評価する。
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Causes of Carryover |
条件検討の結果、本年の遺伝毒性試験の被験パラメーターが予定より減少したため次年度に繰り越す。 次年度は、劣化処理条件を当初より多様化する予定で、その費用に充当する。
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Research Products
(11 results)