2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of inverse design approach for microstructural processes in materials based on diffusive solution method
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17K18965
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 宗一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30431331)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 逆問題 / 材料組織 / シミュレーション / 構造材料 / フェーズフィールド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
効率的な材料開発のためには、既存の順問題的な取り組みに加えて、逆問題的な取り組みが必要である。本研究の目的は、材料組織の形成過程を時間軸に対して逆方向に計算・予測する逆問題的アプローチを開発することである。 フェーズフィールド法をベースにした材料組織の時間反転過程を計算する手法を開発することが本研究の目的である。フェーズフィールド法は、反応拡散方程式に立脚した手法であるが、反応拡散方程式の時間反転問題は典型的な不良設定問題であり、通常は解くことができない。それを、"diffusive solution法"という本研究オリジナルの手法で解決することを試みる。本年度は、反応項を無視した拡散方程式を対象にして、時間反転プロセスの解析を実施した。その結果、diffusive solution法で時間反転過程を解析可能であることが分かった。具体的には、ある時刻における濃度の空間分布を表すc(x,t)を解空間に拡張し、それらをdiffuse interfaceのように連結することで、解が振動する問題を解決できた。ただし、全ての条件でシミュレートが可能なわけではなく、diffusive solution法で適切なパラメータ選択が必要であることも明らかになった。具体的には、diffusive solution法において、解の広がりを狭くしたときには、細かな波の増幅が生じ、解の広がりを広くした際には、大きな波の増幅のみが示された。つまり、解の広がり(解の幅)を適宜調整することで、多様な初期状態の可能性を算出できることが分かった。したがって、その解の幅を決定するパラメータの選択方法を検討することが今後の重要課題として示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反応項を無視した拡散方程式を時間反転方向に解くことが可能であった。これはdiffusive solution法の有効性を示すものであり、次年度以降の反応拡散方程式の解析も可能になることを期待させる成果である。したがって、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度においては、平成29年度に明らかになったパラメータ選択の方法について検討することからはじめる。解をdiffuse interfaceとみなした時の界面幅(解の広がり)に相当するパラメータによって、解の不安定性を制御でき、複数の解に分岐する様子が確認できたため、その解の広がりと分岐の関係について詳細を調査する予定である。 その後、順問題との誤差の計算方法についても検討を進め、本手法の精度検証の方法も開発する。 さらに、当初の予定通り、反応項を導入した反応拡散方程式の逆解析を試みる。まずは一次元の問題から着手する。固液界面における溶質拡散、または凝固を伴う伝熱問題を対象にして、逆方向の時間発展をシミュレートできるか否かを検討する。 反応項を導入した際に、もしdiffusive solution法のみで精度の向上が見込まれない場合には、新しいアプローチの併用も検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた情報収集のための国際会議が学内用務と重なったために参加できなかった。その旅費分が残額となった。次年度も類似の国際会議があるため、ここで情報収集を行い、残額分を使用する予定であり、さらに研究を予定通り進めることを計画している。
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