2017 Fiscal Year Research-status Report
One-Process Fabrication of High-Density Capacity LIB Electrode Materials on Cu and Al sheets by Hybrid Electrodeposition
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17K18966
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
呉 松竹 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30633573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八代 仁 岩手大学, 理工学部, 教授 (60174497)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | LIB電極材料 / ナノ材料 / 表面・界面物性 / 電気めっき |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、次世代大容量・低コストのLIB電極材料の新規創製を目指し、水とエタノールの混合めっき液中で電気めっきと泳動電着を組合せた新規なハイブリッドめっき法により、銅板およびアルミ板上にナノ空間を持つ大表面積のナノポーラス複合めっき層をOne-Processで形成させることを試みた。即ち、負極集電体銅板上に鱗片状ナノ結晶を持つナノポーラスSn-SnO2-TiO2/Cu6Sn5複合めっき膜を形成し、正極集電体Al板上にナノポーラスLi-V-Mn-Ni-O系複合めっき膜を直接形成することにより、集電体上にLIB電極の活物質成分と導電性成分を一体化した新規な高密着性ナノポーラス複合膜を創製し、電極反応効率を向上させる。また、めっきプロセスにおける電気化学反応および電池特性評価におけるめっき膜成分の役割と電極反応メカニズムを解明することを行った。 その結果、正極材料として、電解エッチングとハイブリッドめっき法によりAl基板上に均一なLi-V-Mn-Ni-O複合めっき膜が形成し、めっき条件により、複合めっき膜の微細構造および化学組成を制御することができた。また、V-Ni-Mn-O複合めっき膜が形成されたAl箔を作用極とし、Liイオン電池の正極材料として定電流充放電試験を行い、電池特性はめっき浴組成およびめっき条件に依存することが確認された。 また、負極材料として、ハイブリッドめっき法により集電体のCu基板上に鱗片状Sn-TiO2複合めっき膜を形成し、高い電気容量を示すことが確認された。さらに、スマートアノード酸化によりTi基板上に新規なナノポーラスTiO2-TiO-TiN(/SnO2)複合皮膜を創製し、放電容量を向上する効果を見出した。 そして、研究成果として、著書1件、学術論文登載7件(他投稿中2件)、招待講演4件、国際学会発表9件(内予定3件)、国内発表7件を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度には、研究代表者が岩手大学から名古屋工業大学に転任したが、当初の予想から研究計画と分担を調整したため、研究を順調に進展している。 (1)次世代大容量・高安全性のSn-TiO2系LIB負極材料の創製(名工大で実施):ハイブリッドめっき法により集電体のCu基板上に鱗片状Sn-TiO2複合めっき膜を形成し、高い電気容量を示すことが確認された。さらに、スマートアノード酸化によりTi基板上に新規なナノポーラスTiO2-TiO-TiN(/SnO2)複合皮膜を創製し、放電容量を向上する効果を見出した。 (2)高安定性のLi-V-Mn-Ni-O系LIB正極材料の創製(名工大で実施):電解エッチングによりAl基板上に数μm~数十μmの凹凸表面を形成させたのち、ハイブリッドめっき法により均一なLi-V-Mn-Ni-O複合めっき膜が形成された。めっき浴組成と熱処理の組合せにより、複合めっき膜の微細構造を層状膜、ナノ粒子状膜おおびメソポーラス膜を制御できた。また、複合めっき膜におけるバナジウムはVO2とV2O5、MnはMnOとMnO2の複数の酸化物状態として存在し、NiはNiOOHとNi金属の複合体で存在することを判明した。さらに、加熱処理後のV-Ni-Mn-O複合めっき膜が形成されたAl箔を作用極とし、Liイオン電池の正極材料として定電流充放電試験を行った。V-Mn-Ni-Oめっき膜はLiイオン電池正極として作動し、電池特性はめっき浴組成およびめっき条件に依存することが確認された。 (3)LIBの負極と正極材料としての電池特性評価および電極反応メカニズムの解析(岩手大と名工大で共同実施、NIMSと名大から研究支援):前述の各種ハイブリッドめっき膜をバインダーと導電助剤フリーのLIB負極と正極材料として種々の充放電試験を行い、複合めっき膜の組成と結晶構造などによる電池特性への影響を調べた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)次世代大容量・高安全性のSn-TiO2系LIB負極材料の創製(名工大担当):昨年度の続きとして、安定な電池特性を持つSn-TiO2系ハイブリッドめっき膜を形成し、実用に向けて膜組成と構造の制御方法を見極めて、製品開発の理論根拠を突き止める。 (2)高安定性のLi-V-Mn-Ni-O系LIB正極材料の創製(名工大担当):電気容量と作動電位とのバランスを考慮してLi-V-Mn-Ni-O複合めっき膜の組成と微細構造を制御し、めっき液組成とめっき条件などによる複合めっき膜の化学組成、化学結合状態および微細構造などの制御因子を詳細に調べ、導電性の酸化物-金属の複合膜の最適な作製条件を探り出す。 (3)LIB電極材料としての電池特性評価(名工大担当):前述の各種ハイブリッドめっき膜を作用電極とし、半電池式およびフル電池式で充放電試験を行い、複合めっき膜の組成と結晶構造などによる電池特性への影響を調べるとともに、実用に向けて製品化に必要な基礎データベースを構築する。 (4)電池特性評価後の電極材料の解析(岩手大担当):種々の物理・化学分析手段(XPS,Tof-SIMSなど)を利用して前述の電池特性評価後の試料を分析し、電極反応メカニズムを解明する。 研究の進捗状況を共同研究先(岩手大学、名古屋大学、NIMS)にその都度に報告し、研究打合せを通して実験分担を調整する。また、研究結果を国際雑誌に投稿するとともに、国内外の学会での発表を通じて社会に発信することを積極的に行う。
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Causes of Carryover |
H29年度中に岩手大学から名古屋工業大学に移籍したため、電極の作製および電池特性評価に関する消耗品の使用は予定より少なくなった。 H30年度に膜特性分析および電池特性評価が増えるので、消耗品(試薬、電池材料、Arガス料金、分析料金など)使用は当初より多くなる。 H30年度の消耗品経費は、電池セルの新規購入(増加分)、部品交換代、および大型分析設備の利用に使用する予定である。
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Research Products
(25 results)