2017 Fiscal Year Research-status Report
高原子価遷移金属酸化物の電気化学合成と触媒への応用
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17K18973
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
八木 俊介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60452273)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 酸素発生反応 / 酸化還元 / 高原子価イオン / 酸素欠損 / 触媒活性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は当初、電気化学操作によって強い酸化雰囲気を作り出し、高い原子価遷移金属イオンを生み出す手法の開発を目的としてスタートし、現在もその手法について引き続き検討を進めているが、検討していく中で、構造内の酸素欠損が酸素発生反応に対する触媒活性に大きな影響を与えることを明らかにした。そこで本年度は新たな視点として、酸素欠損が酸素発生反応に対する触媒活性に与える影響について検討を行った。特に、慶應大学の神原陽一准教授および北見工業大学の平井慈人助教と協力し、構造内における酸素欠損の影響を調べるための物質としてSr2VFeAsO3-dを選定して、その酸素発生反応に対する触媒活性との関連性について研究を進めてきた。この物質は層状の構造を保ちながら、非常に多くの酸素欠損を安定に導入することができるためである。本年度における検討の結果、酸素欠損の位置や欠損どうしの距離と酸素発生反応に対する触媒活性に大きな関連性があることを見出した。すなわち、酸素欠損の数が増え、欠損どうしの距離が近づくほど、酸素発生反応の過電圧は小さくなり、触媒としての性能が向上することを明らかにした。このようになる理由として、酸素発生反応は2つの酸素原子が結合して1つの酸素分子となる反応であり、複数の活性点にそれぞれ吸着したOH-などの分子が相互作用をすることによる新たな酸素発生機構が生じるためであると考えられる。そしてこの成果を現在論文に纏めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初検討を予定していた手法に関連して、酸素欠損と酸素発生反応に対する触媒活性との関連性を明らかにしつつあり、本内容に関して、論文投稿の予定もあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、電気化学操作による高原子価イオン遷移金属イオンを含む酸化物の合成手法の確立を目指すとともに、これまでの研究で明らかにしつつある、酸素欠損と酸素発生反応に対する触媒活性との関連性を利用し、高い活性を有する電気化学触媒の合成にも挑戦する予定である。Sr2VFeAsO3-dなどの新物質はもちろんのこと、これまでに報告されているBa0.5Sr0.5Co0.8Fe0.2O3-dなどの物質の酸素欠損量を変化させて、酸素欠損と酸素発生反応に対する触媒活性との関連性が普遍的なものであるか、検討を進める予定である。酸素欠損の評価は、熱重量示差熱分析装置による酸素充填量の評価、X線構造解析などを併用して行う。また酸素還元反応に対する触媒活性についても、検討を進める予定である。
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