2018 Fiscal Year Research-status Report
Mat of silicon nanowires as a highly efficient thermoelectric material
Project/Area Number |
17K18976
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
稲澤 晋 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30466776)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | シリコン / 熱電変換 / ナノワイヤー膜 / ウィスカー / 不純物ドーピング / 電気伝導 / 熱伝導 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiCl4亜鉛還元反応で自発的に生成する不織布状のシリコンナノワイヤー(SiNW)膜を用いて、効率の高い熱電変換材料を開発することが本研究の目的である。SiNW一本ずつを配線し、電気的な導通を確保することは極めて困難である。本研究では集合体としてナノワイヤーを利用することを提案している。特に、シリコンナノワイヤー膜の合成時に、電気導電性を付与する不純物原子のドーピングを可能にする反応プロセスの開発を進めている。H29年度に引き続き、H30年度もホウ素を不純物として選定し、合成プロセス条件に対して、ホウ素ドーピングの程度がどのように変わるのかを検証した。検証には、電気抵抗(電気伝導度)を測定しやすいシリコンウィスカーを用い、測定した電気抵抗から、ホウ素の不純物濃度を推算した。その結果、ホウ素源であるBCl3とシリコン源であるSiCl4の分圧比に応じて、ホウ素のドーピング濃度を4桁に渡って制御できることを明らかにした。SiCl4亜鉛還元反応では、亜鉛液滴を介してシリコンのナノワイヤーやウィスカーが生成する。ドーピングの経路を検討した結果、シリコン表面からのホウ素の拡散侵入の寄与は極めて小さく、大多数のホウ素が亜鉛液滴を介してシリコン中に取り込まれていることも明らかにした。ウィスカーと同じ反応条件で作製したシリコンナノワイヤー膜をラマン分光で測定し、ナノワイヤー内部にも電気的に活性なホウ素が存在することを確認した。不純物ドーピングとシリコン合成を同時に行う反応プロセスを実証できた。また、ナノワイヤー膜の熱伝導度測定を行う研究をH30年度から開始し、標準モデル物質の熱伝導度測定を行う段階まで到達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
不純物ドーピングとシリコン合成とを同時に行う反応プロセスを確立できた。導電性のあるシリコン材料の合成が可能になっている。ナノワイヤー膜中へのホウ素ドーピングが行われていることも確認済みである。熱伝導度測定の検討も始めており、材料の合成と評価の両面でおおむね順調な進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
ドーピングを施したナノワイヤー膜での電気導電率および熱伝導率の測定を行う。前者の測定ではナノワイヤー膜と導電回路との接触抵抗を下げる工夫に注力する。また、熱伝導率の測定でもナノワイヤー膜の温度測定が必要である。熱電対など温度測定素子とナノワイヤー膜との接触抵抗が、温度測定にも影響する。現在進めている赤外線カメラを用いた非接触での温度測定と熱伝導率の測定を確実に発展させる。
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Causes of Carryover |
高価なBCl3ガスの使用量を削減する工夫を行ったこと並びに石英治具の破損頻度が昨年度同様、想定よりも少なかったことなどから90万円程度の差額が生じた。最終年度(2019年度)での、材料合成や膜物性(電気伝導率および熱伝導率)測定系の開発に充当する。
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Research Products
(2 results)