2018 Fiscal Year Research-status Report
熱を操るタンデム新原理に基づく焦電環境発電材料の研究
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17K18984
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柿本 健一 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40335089)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | エネルギー / 電子・電気材料 / セラミックス / 複合材料 / 焦電効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次供給エネルギーの60%程度が未利用排熱として大気中に捨てられているわが国では、エネルギーのカスケード(縦つなぎ)利用が有効技術とされ、機械的エネルギーを介して電気的エネルギーを得るといった方法で温度ごとに切れ目の無いエネルギー変換を行い、排熱利用の高効率化を実現している。しかし、機械的エネルギーを介した熱利用は300℃の壁を持って終了するため、本研究は、300℃以下で“熱を操る”ことを念頭にしつつ、熱-電気変換に関して革新的かつ全く新しい発想に基づく材料学的研究に挑戦することを目的としている。一方、車両や電子機器関連分野では、熱を逃す高効率な新冷却システムを渇望しており、この温度域とも一致する。つまり、300℃以下で“熱を操る”ことが強く求められる。そこで、様々な外場環境の変化のうち、例えば温度変化の場合には、その“温度差”ではなく、“温度の時間的変化”に着眼した創エネ材料の研究を行うことを本研究の目的としている。 昨年度は、熱膨張特性が大きく異なる2種以上の焦電/非焦電材料を無拡散状態で0-3型 複合組織化することに成功し、その機械特性および電気特性を評価し、粉末状のセラミックフィラー材の充填濃度と複合材の機会特性との相関を調べた。今年度は、その異種界面で温度変化に対して誘起される熱膨張が観測できる装置を製作した。さらに、セラミックフィラー材の表面構造を改質し、ファイバー状の高分子内部に埋め込んだもの、または表面に接着させただけのもの2種類を作り分ける材料合成技術を獲得し、その機械的変形挙動および歪電挙動(環境発電量)を調べた。ドイツの大学との共同研究にも発展し、マルチスケール有限要素法を取り入れた変形挙動の解析も実施し、これらの成果を取りまとめて論文発表および学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度目的として掲げた瞬間的な特性変化を観測する装置が組み上がり、焦電および歪電効果のタンデム評価ができる体制を整えたため。
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Strategy for Future Research Activity |
各種の異種界面をもつ複合材料を合成可能とし、その焦電・歪電からなるタンデム挙動のメカニズム解明と環境発電素子化に取り組む。
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