2017 Fiscal Year Research-status Report
Design of interface property in sheet-type all-solid-state iron-air batteries and challenge for their improved high capacity
Project/Area Number |
17K18985
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
松田 厚範 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70295723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武藤 浩行 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20293756)
河村 剛 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10548192)
TAN WAIKIAN 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10747695)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 金属空気電池 / 鉄負極 / 固体電解質 / 全固体電池 / シート型電池 / カーボンペーパー / 高分子バインダー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では安価で豊富で環境負荷の極めて小さな「鉄」を負極に用いたシート型全固体鉄/空気二次電池の構築を目指し、世界で誰も達成できていない全固体化と大容量化に挑戦し、ポストリチウムイオン二次電池となりえる革新的次世代蓄電池の実現を目的としている。本年度は、以下の重要な研究実績を得た。 (1)導電性材料への鉄化合物担持方法の検討と界面制御による負極複合体の高度機能設計:塗膜熱分解法、静電吸着法、アークプラズマ蒸着法、さらにめっき法を用いて、カーボン系材料に鉄化合物を担持させ、その特性評価を行った。その結果、塗膜熱分解法では鉄担持量を増やすことが難しいこと、高分子電解質を用いた静電吸着法では、用いた高分子が電子伝導性を阻害すること、アークプラズマ蒸着法では鉄金属ナノ粒子の酸化燃焼反応を制御することが難しいことなどが分かった。現在、負極複合体の作製には、高分子電解質を用いない静電吸着法とめっき法に絞って評価を進めている。また、集電体として、カーボンペーパーに加えて、ステンレス不織布、Ni不織布についても検討を始めた。 (2)高分子バインダーを用いたシート型全固体鉄/空気電池二次電池の構築と特性評価:鉄化合物を担持したカーボン負極はKOH水溶液中で鉄空気電池の充放電試験では、初期サイクルで最大460 mAh g-1(Fe)の大きな放電容量が得られた。SEM観察により、活物質である鉄の電解液への散逸がサイクル経過に伴う容量低下の大きな原因であることが確認された。液体電解質を固体電解質に置き換えた全固体型鉄空気電池でも繰り返し充放電を行うことが可能であり、初期サイクルで最大70 mAh g-1(Fe)の放電容量が得られた。現在、 微粉砕固体電解質とPVDFからなる電解質シートを開発と、電池のシート化について取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
導電性材料への鉄化合物担持方法の検討と界面制御による負極複合体の高度機能設計に関しては、高分子電解質を用いない静電吸着法とめっき法が負極作製に有用であることを明らかにした。集電体の可能性も広く検討を終えた。さらに、鉄に加えて亜鉛も負極の候補として、検討を開始した。また、鉄化合物を担持したカーボン負極はKOH水溶液中では、初期サイクルで最大460 mAh g-1(Fe)の大きな放電容量が得られている。さらに、導電率の高いKOH-ZrO2-PVDF系電解質シートの作製プロセスも確立できている。以上のことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
鉄化合物担持カーボン系負極では、電池として実容量を向上する観点からは、一層鉄化合物の担持量を増加する必要があると考えている。金属から直接多孔体電極を形成できる陽極酸化法も検討に加えていく予定である。さらに鉄に加えて亜鉛も負極の候補として、その可能性をさらに見極めたい。また、高分子バインダーを用いたシート型全固体鉄/空気電池二次電池の構築と特性評価に関しては、KOH水溶液系に近い放電容量を実現できるシート型電池の構築を目指す。これを実現するためには、良好な集電体/活物質/電解質の固体界面の構築が重要になると考えている。また、最近見出したK2S、Bi2S3などの添加物が鉄の還元酸化を促進する効果について調査するとともに、その知見を全固体電池構築と特性向上に結びつけていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定していた、国際学会の外国旅費を支出する必要がなくなったことと、電子顕微鏡に関わる装置の保守費用が発生しなかったため次年度使用額が生じた。最終年度の平成30年度は、計画的に執行する。
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Research Products
(13 results)