2018 Fiscal Year Research-status Report
角度分散型時間分解X線回折法による3次元衝撃圧縮状態の研究
Project/Area Number |
17K18999
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
一柳 光平 自治医科大学, 医学部, ポスト・ドクター (70435618)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 時間分解X線測定 / 衝撃科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
レーザー誘起衝撃圧縮波により結晶が急速に加圧されたときの応力偏差の変化を観測するために、高強度レーザー駆動の衝撃波と放射光のX線パルスを組み合わせ、X線集光ミラーを用い3 次元で可視化するための角度分散型の時間分解X線回折測定法の技術開発を実施している。プローブとして使用する放射光施設(Photon-Factory Advanced Ring: PF-AR)から得られる100ピコ秒の硬X線パルスを使用し、衝撃波の駆動には1パルス、16 Jの高強度ガラスレーザーを衝撃波駆動源として用いた。面心立方格子の金属であるアルミ二ウムのピコ秒時間分解X線回折から結晶子の微細化と不均一性が増大する過程を明らかにし、回折ピークの幅の統計解析から衝撃圧縮した多結晶アルミニウムの転位密度を定量的に解析することが出来た。 2018年度は、真空蒸着器を導入しプラスチックアブレーターにアルミニウムを数10 nm蒸着させることで試料へ入るレーザーの時間プロファイルの裾を遮断し、時間プロファイルの裾のアブレーションによる前駆衝撃波を遮断した時間プロファイルの良い衝撃波を形成できることを多結晶アルミニウム箔で確認出来た。衝撃波プロファイルはレーザー速度干渉計(Velocity Interferometer System for any Refector: VISAR)により衝撃波の圧力履歴を計測し確認し蒸着厚を最適化した。同様の多結晶アルミニウム箔資料を用いた時間分解X線回折測定でも回折のピークシフトから得られ圧力値とほぼ同じ圧力値が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は計画で予定していた、単結晶シリコンの衝撃波伝搬方向と垂直方向の衝撃波伝搬下の格子変形は時間分解ラウエ回折により確認した。直行する格子面の時間応答特性についてはラウエ回折により確認し、弾性波による1軸変形が先行し、その後弾性波より遅れてくる塑性波による変形を衝撃波と直行方向の格子面で確認した。これにより塑性波では不均一歪みにより応力が緩和されて3次元的な変形になることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
角度分散型時間分解X線回折法を確立するために、ビームタイムを確保し実試験を行い評価するとともに、時間分解ラウエ回折により得られたデータを元に弾塑性域を越えた単結晶の衝撃波伝搬方向と衝撃波伝搬と垂直方向の構造を観測を行う。単結晶の高速相転移過程における応力解放過程や、周期構造の時間変化について議論を行う。
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Causes of Carryover |
備品購入予定であったX線専用ミラーの購入が遅れたため次年度使用額が生じた。当該年度は当初予定していたX線専用ミラーとその他機器を購入するために充てる。
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Research Products
(5 results)