2017 Fiscal Year Research-status Report
Formation of layer-by-layer structures by multi-nanoparticles and their concerted functions based on nanodomains
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17K19005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
阿尻 雅文 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (60182995)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / 超臨界流体 / ハイブリッド材料 / ナノドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる有機分子で修飾した異種ナノ粒子を、同一溶媒中に分散させた分散液を準備し 、その両分散液を混合接触させることで 、官能基の結合等による複合体沈殿生成を行った。本年度はモデル系としてCeO2ナノ粒子とAuナノ粒子を用いた。3,4-dihydroxybenzoic acid (DHBA)修飾CeO2 (粒径7.5 nm)、N,N,N-trimethyl(11-mercaptoundecyl)ammonium chloride(TMA)修飾Au(粒径3.5 nmまたは5.3 nm)ナノ粒子を用い、修飾分子の静電的相互作用によるAuナノ粒子とCeO2ナノ粒子の規則的複合体形成を試みた。 複合体のSEM観察結果から、表面が滑らかで構造体が形成されているように見える部分と不規則に凝集した部分が存在している様子が見て取れた。さらにEDSにより、両部分の組成を解析したところ、表面が滑らかな部位においてはCe/Au比がおおよそ6±1程度となったのに対し、不規則な凝集部分では、元素比のばらつきが大きかった。作製された構造体をABx(A=Au,B=CeO2とする)の組成を持つ結晶であると仮定すると,AB1.89の組成を持つことが示唆され、Auナノ粒子-CeO2ナノ粒子系において、修飾鎖の静電的相互作用を利用した規則構造形成の可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の要所であり、且つ挑戦性の高い、修飾鎖の静電的相互作用を利用した規則構造形成手法の確立に、当初計画以上の時間を要したことから、本年度に計画していた放射光を利用した解析や計算科学の連動にまで研究を進展させることが出来なかった。このことから、当初計画よりも遅れていると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の展開として、得られた異種ナノ粒子複合構造体の放射光散乱情報を得る。計算科学 (分子動力学+ DEM)で予測される構造に 摂動を加え散乱情報を予測し、放射光実測値と比較する。この手法により、放射光散乱情報から構造情報の抽出を行う。放射光と計算科学の連動の結果から得られた構造情報( 3次元配置)から、Persistent Homology により、離散的な階層化構造の中に潜む、構造の特徴量を数学的に抽出する 。 また、自己組織化高分子やラテックスナノ粒子などソフトテンプレートによる複合構造化も検討する。構造体の応用を志向し、3次元グラニュラ一系磁性材料 (巨大磁気抵抗)、 強電子相関材料 、新機能構造化触媒だけでなく、メタマテリアル系材料合成にも挑戦する 。物性については 、磁化特性を SQUID、触媒活性については osc (酸素吸蔵能)およびそ の速度論を評価する。メタマテリアル系については 、広い周波数領域での磁場・誘電場 (光学)損失評価を行い、構造と物性との関係を議論する 。 最後に、プロセス一構造の相関 、構造一物性の相関を考察し、無秩序~秩序構造を有する複合ナノ粒子材料の評価・機能制御法について体系化する。
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Causes of Carryover |
本年度は、本研究の要所であり、且つ挑戦性の高い、修飾鎖の静電的相互作用を利用した規則構造形成手法の確立に、当初計画以上の時間を要したため、本年度に計画していた放射光を利用した解析や計算科学の連動を次年度研究内容に移行した。この計画変更に伴い、研究経費の次年度使用が生じた。次年度においては、人員を増強し、解析を効率的に行うと共に、応用展開についても検討していく予定である。
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