2017 Fiscal Year Research-status Report
Stable and reactive heterogeneous catalyst for ammonia synthesis at ambient condition
Project/Area Number |
17K19008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 敬也 京都大学, エネルギー科学研究科, 特定助教 (90748550)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | アンモニア合成 / 錯体触媒の固定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
常温常圧におけるアンモニア合成能のあるMo配位Triamidoamineを、固体に結合させることによってAmido部分を安定化できることを第一原理計算によって理論的証明を試みた。この触媒の失活はAmido部分の窒素はプロトン化され配位金属が遊離することに起因するため、この部分を固体に結合させることによって安定化を図った。計算モデルとして、Amidoに炭素鎖が結合し、その炭素鎖の末端が固体に結合している構造を扱った。モデルは炭素数を変化させて固体との距離を変えつつ、一つのAmido部分がプロトン化された状態とのエネルギー差(安定性)について調べた。結果として、炭素鎖が短いとプロトン化した場合のエネルギーが不安定化することがわかった。これは、炭素鎖が短いと自由度が小さくなるため、結合角度が不自然になりやすく、安定化が妨げられることがわかった。すなわち、短い炭素鎖においてTriamidoamineが安定化することがわかった。この他に、炭素鎖末端にカリウムを配置したモデルでも安定化エネルギーを調べた。カリウムは炭素鎖を伝って活性中心のMoに電子供与を行い、活性が向上が見込まれるため、将来的な活性向上に重要であると考えられる。しかし、Amidoの窒素原子を通じての電子供与であるため、窒素原子がよりプロトン化されやすくなるため、不安定になることも見込まれるが、これらの影響は炭素鎖の長さに依存すると考えられる。計算を行ったところ、炭素鎖の自由度が十分でなく、安定化する範囲ではカリウムの影響は十分にあり、不安定化することがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炭素差の長さの影響を調べ、錯体触媒を固体に結合させることで安定化することを計算科学的に示せたことは進展していると言える。一方で、将来的に活性向上には必要不可欠な電子供与材によって不安定化したことを受けて、異なるアプローチが必要であることも示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
平衡論的に自由度が低いほど安定化される結果はわかった反面、反応分子の窒素の活性中心へのアプローチや生成物のアンモニアの脱離がしにくくなることが考えられる。これまでの計算した構造に対し、MD計算をすることによって速度論的にどの程度不利になるかを検証することを今後行っていく。計算資源次第ではあるが、できる限りアンモニア合成のステップの全てに対しMD計算を行って検証を行っていく。また、現在は構造最適化した炭素鎖の末端を固定するのみであったが、現実系により近づけるため、ゼオライト表面などの酸素原子の配置を参考にして炭素鎖の末端を固定して計算を行う。この他に、電子供与材があっても不安定化しない構造についても検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
計算マシンが当初の見積もりよりもはるかに安く購入することができたため、未使用金額が余分に生じた。これらの金額を使って、マシンをより効率化する器具もしくは、得られた知見を実験的な研究へのフィードバックのための準備を行う。また、進展次第では研究成果の論文化や特許化のために使用する可能性もある。
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Research Products
(6 results)