2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of funcitonal wavlength selective thermal emitters
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17K19045
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石井 智 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (80704725)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 熱放射 / 中赤外光 / 微細構造 / 集光 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度の研究で、熱放射を狭帯域化させる一次元構造と熱放射を集光する構造の作製及び評価を行った。狭帯域な熱放射をするナノ構造の研究は、これまでは2次元や3次元の構造が一般的に採用されてきたが、採択者らは光のタムモードを励起できる一次元構造を用いることで、一次元構造でも狭帯域熱輻射が実現できることを示してきた。これまでは熱放射させるために金属膜を用いてきたが、高温でも使用できるように金属膜を高温使用可能なセラミックスである窒化チタンに置き換えること検討した。窒化チタン薄膜を使った光のタムモードを励起できる一次元構造をスパッタ成膜により作製した。一元構造で周期構造をなす部分にはシリコンとシリカの薄膜からなる。その後、ヒーター加熱されている試料をFTIRを使って熱放射の測定を行った。その結果、窒化チタンを採用した一次元構造でも、これまで金属を使って得られたような半値幅が1ミクロン以下の狭帯域な熱放射が得られた。 熱放射の集光の研究では、幅が数十ミクロンの回折格子のような構造をフォトリソグラフィーと電子線蒸着によるリフトオフで作製した。熱放射する材料にはガラス基板そのものを使い、パターン形成にはアルミニウムを用いた。試料からの熱放射の空間プロファイルは、試料をヒーター加熱して赤外線カメラで取得した画像を独自のプログラムで解析することで得た。その結果、試料表面から約50ミクロン上方にゆるやかに熱放射が集光しているような結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
窒化チタンを採用した一次元構造で光のタムモードによって狭帯域熱放射を実現するテーマに関しては、論文がかけるまでデータが取得できたため、このテーマに関して順調であったと考える。 熱放射を集光するテーマは、初めて試みで先行報告例もないため、初期データをえるまでに時間を要したが、先述の方法で試料作製と測定ができる目処をつけることができた。そのため、本テーマに関しては遅れと期間延長を考慮し、おおむね順調であると考える。 以上二つを総合して、現在までの進捗状況をおおむね順調とした。
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Strategy for Future Research Activity |
窒化チタンを採用した一次元構造で光のタムモードによって狭帯域熱放射を実現するテーマに関しては、現在執筆を進めていて、第一四半期中に投稿できる予定である。 熱放射を集光するテーマは、赤外線カメラ分解能が数十ミクロンであるため、集光プロファイルを測定しやすいようにこれまでより幅の大きな試料(100ミクロン以上)になるようにして、集光点がより明瞭になるように微細構造の設計を見直す。新たなデザインに基づき、フォトリフォグラフィと電子線蒸着後のリフトオフによって試料を作製する。実験上の制約があるため、今回の研究では集光点の小ささは追い求めず、できる限りきれいな実証結果を得ることを目指す。
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Causes of Carryover |
熱輻射を集光するテーマに関しては、熱輻射の集光プロファイルを測定するために試行錯誤をしたために、試料作製や光学部品を想定よりも使用せず、そのため予算の余剰が生じた。次年度は試料作製に必要な材料費、装置使用料と光学素子に予算を使い、次年度内に研究がまとまれば年度内の学会発表用予算も確保する。
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