2018 Fiscal Year Research-status Report
Ga-Al融液からのAl蒸発を用いたシンプルなAlN気相成長法の開発
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17K19067
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安達 正芳 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (90598913)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 窒化アルミニウム / Ga-Alフラックス |
Outline of Annual Research Achievements |
単結晶窒化アルミニウム(AlN)はAlGaN系深紫外発光素子の基板として期待される材料である.しかしながら,これまでに大口径なAlN単結晶を安価に作製する手法は確立していない.代表者はこれまで,Ga-Alフラックスを用いたサファイア基板上への独自のAlN液相成長技術の開発を行ってきた.このGa-Alフラックスを用いた液相成長法の開発中に,Ga-Alフラックスの上部でAlNが気相から生成していることを見出し,本研究課題の手法を発案,開発した.本手法では,炉内に温度分布をつけることで,窒素ガスの役割を炉内の場所ごとに変えてAlNを成長させる.比較的低温に保持した原料部では,窒素ガスがキャリアガスとして働き,高温に保持した結晶成長部では,窒素ガスが原料ガスとして働き,AlNが成長する. 本年度は,昨年度に構築した実験系を用い,炉内の圧力がAlNの成長に及ぼす影響を調査した.その結果,1.0および0.5 barの圧力下では六角形の島状のAlN結晶が成長したのに対し,0.3 barの圧力下では不均一な膜状のAlN結晶,0.1 barの圧力下では均一な膜状のAlN結晶が成長し,炉内の圧力によりAlNの成長形態が変化することがわかった.また,0.3 barの圧力下で5 h成長したAlN結晶の膜厚は0.9マイクロメートルであったのに対し,0.1 barの圧力下で5 h成長したAlN結晶の膜厚は4.1マイクロメートルであり,圧力の低下とともにAlNの成長速度が増加することも分かった. 今後は本年度の成果を元に,成長速度の増大を目指した研究を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究で,本研究課題を遂行するための実験系を構築した.本年度は当初の計画に基づき,昨年度に構築した実験系を用いて,炉内の圧力がAlNの成長に及ぼす影響を調査した.基板にはc面サファイア基板を用いた.その結果,炉内の圧力により成長するAlN結晶の形態が変化することがわかった.特に0.1 barの圧力下でのAlN成長実験により,c面サファイア基板上に膜厚4.1マイクロメートルの均一なAlN結晶を成長させることに成功し,本手法を進展させることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により,均一な膜状のAlN結晶をc面サファイア基板上に作製することに成功した.今後は当初の計画に基づきa面,r面サファイア上へのAlN成長を試みるとともに,成長速度の増大を目標とした研究も行う.具体的には,窒素ガスにアンモニアを添加したガスを供給ガスとして用い,AlN成長を試みる.さらに炉内の空間のデザインを変えることで原料の基板への輸送を促進し,AlN成長を試みる.
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Causes of Carryover |
2018年度の一連の研究活動では,研究室で保有していた炉内耐火物や配管部材等を用いて実験装置の開発・改良を進めることができたため,2018年度の支出を抑えることができた. 2019年度に行なう実験では,アンモニア混合ガスを使用するため,その除害機構や配管部材の変更等も必要となる.それらの実験系変更のための費用として,繰り越し分の研究費を使用する.
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Research Products
(1 results)