2017 Fiscal Year Research-status Report
Study of a femtosecond single-shot transient absorption spectroscopy using discretely oscillating optical frequency comb
Project/Area Number |
17K19069
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
塩田 達俊 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10376858)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
Keywords | 光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に、光周波数コムを用いた時空間変換による周波数領域光波形計測の時間分解能は光コムのスペクトル帯域で決まり、制御できる時間領域はコム間隔で決まる。よって、例えば200フェムト秒の時間分解能と40 ピコ秒の時間領域を確保するために、単純に空間並列でスペクトル計測を行うと、25 GHz間隔では200台の位相検出器を用いた計測が必要となる。計測システムの肥大化と高いコストから、分解能と領域の両立を実現することは困難な場合がある。それに対して、本研究では、時間並列方式を新たに開発した。光遅延回路によって各周波数成分に対して一定ずつ増加する時間遅延を付与し、1台の検出器による検出を可能とし、多チャンネルの位相情報を時間的に一連で受光することができる。すなわちこのシステムは、周波数軸を時間軸に変換することを可能としている。この一連の信号を連続で取得することにより、一台の検出器のみで位相スペクトルの計測が可能となる。なお、測定対象の光信号には予め時間窓による切り出しを行った後に遅延を付与する。よって、異なる瞬間の情報を計測しているわけではなく、計測各周波数の観測の同時性は保持したまま、空間並列方式と変わらない情報を得ることが出来る。本手法を実現するためには、各周波数に対し適切な遅延を付与するシステムを作製して、光ファイバ遅延回路と分光器を組み合わせた新規の遅延回路を作成した。実際に単一の検出器のみで1.125 THzの帯域の光周波数コムの位相スペクトルを得ることができた。これによって、遅延回路システムを用いた光位相スペクトルの時間並列計測が可能であることの動作原理を実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の初期段階での目標は、光周波数コムが持つ多数の各縦モードのベクトル情報を効率よく計測するために、光コムが持つ位相情報を光周波数毎に高速な時間幅で切り出しさらに時間遅延を付与することにより、周波数軸上で重ね合わされた情報を時間軸に展開して計測できることを確認することにある。その原理により、従来空間的に並列で計測する必要があった位相スペクトルを1台の位相検波回路によって時間並列で計測することが可能となり、200台以上必要だった検出器を1台に集約することができる。平成29年度はでは、上記理論を実現するために新規光遅延回路を制作し、25 GHzで45チャンネルの光周波数コム位相スペクトルについて、時間並列計測の原理確認に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
離散時間分散コムをシード光としたフェムト秒繰り返し時間光周波数コムを生成する。離散時間分散光コムからAWG(アレイ導波路格子)と遅延回路を集積したタイミング合成器を通して200GHz 光コム(繰り返し5ps のパルス列)を生成しさらにシンセサイザによる縦モードのベクトル制御により高速繰り返しパルス生成を行う。また、200 GHz 光周波数コムと25GHz 光周波数コムと合波してフーリエ空間光検出回路で128ch 同時検波する。ここで信号を40 ps遅延集積回路により隣接ピークペア毎に遅延し出力光をシリアル検出することを目指す。
|