2017 Fiscal Year Research-status Report
High Spatial Resolution of Near-field Scanning Optical Microscopy using Force Detection and Investigation of Imaging Mechanism with Atomic Resolution
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17K19079
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
李 艶君 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50379137)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 走査プローブ顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
物質近傍に局在する光(近接場光)を検出し、回折限界を超える光学顕微鏡を実現しようとする試みが行われてきた。従来、近接場光の検出は、その場の中に先端の鋭い探針を挿入し、散乱によって近接場光を伝搬光に変換し、その光強度を測定することで行われてきた。探針としては、先鋭化が容易で散乱光を効率よく導波・集光できる光ファイバや散乱効率の高い金属探針が用いられてきた。しかし、これらの方式では、探針先端の先鋭化と光検出感度の向上は限界に来ていた。 本研究では、物質近傍に局在する光を力として検出するという独創的なアイディアを用い、近接場光学顕微鏡のさらなる超高感度化・超高分解能化に挑戦する。この方式は、従来の方式で大きな問題となっていた光の伝搬損失がほとんどないため、高感度化が容易である。また、非常に先鋭な探針を使用できるため、高分解能化にも優れている。 まず、力検出を用いた近接場光学顕微鏡に使用されている様々な構成要素(例えば、変位検出センサーや周波数変調検出回路など)の超低ノイズ化を実現した。その結果、より微弱な力を高感度・高分解能に検出することができるようになり、この近接場光学顕微鏡のさらなる超高感度化・超高分解能化への実現の可能性が高まった。また、力検出を用いた近接場光学顕微の画像化機構を検討ため、原子的に平坦なサファイア表面を準備する方法とその表面上に有機分子を真空蒸着すための装置の準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バックグランド光を低減した光照射系を実現することに成功した。また、カンチレバーの変位検出計の高周波化と低ノイズ化を実現することにも成功し、近接場光を力として高感度・高分解能に測定するための準備が整った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、試料表面としてサファイアプリズム表面上に吸着させたルブレン分子、ペンタセン分子を取り上げ、それらのπ軌道やσ軌道が、近接場光の3次元分布としてどのように撮像されるかを理論的・実験的に検討し、画像化機構を解明する。また、誘導ラマン散乱法を駆使して、有機分子における原子レベルでの振動状態を力学的に測定することに挑戦する。なお、試料表面としては、上記のルブレン分子やペンタセン分子を取り上げる。
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Causes of Carryover |
予想していた価格よりも安価な物品があり、次年度用額が生じてしまった。次年度の使用額は、少額であり、実験に必要な消耗品を購入する予定である。
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