2017 Fiscal Year Research-status Report
放射性核種を含有する人為起源エアロゾルの新規生成機構の解明
Project/Area Number |
17K19086
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
大貫 敏彦 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (20354904)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇都宮 聡 九州大学, 理学研究院, 准教授 (40452792)
高野 公秀 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力基礎工学研究センター, リーダー (40501367)
香西 直文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 先端基礎研究センター, 研究主席 (80354877)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | マイクロ粒子 / 放射性セシウム / ヨウ素 / MCCI |
Outline of Annual Research Achievements |
核燃料の溶融時において発生したセシウムマイクロ粒子及びヨウ素マイクロ粒子を実験により生成し、その生成機構を明らかにすることを目的として、セシウム及びヨウ素マイクロ粒子の生成の条件とその構造、組成、化学的な性質を解明する。具体的には、原子炉の核燃料の溶融に引き続くコンクリート構造物への落下を模擬し、模擬燃料をコンクリート構造物上で溶融してCs及びIマイクロ粒子を作製する。模擬燃料中の化学組成(特に、CsやI含有割合)などの条件を変えて作製したセシウム及びヨウ素マイクロ粒子を電子顕微鏡や放射光などによる局所分析を行い、生成条件と構造や組成との関係を明らかにする。以上の結果を総合して、セシウムマイクロ粒子及びIマイクロ粒子の生成機構を解明し、新たな人為起源エアロゾルの生成機構を提案することを最終的な目標とする。 29年度は、模擬燃料中のZr、Cs、Iの溶融におけるコンクリート材料の存在の影響について検討した。実験では、Zr酸化物とヨウ化セシウムを含む模擬燃料とコンクリートを溶融反応させた。さらに、元素としてFeやZnを添加する系と添加しない系でマイクロ粒子を生成した。生成したマイクロ粒子をベルジャーから回収し、SEMで分析した。 その結果、コンクリート材料を添加しない系では、CsIが早い段階で蒸発した。一方、コンクリート材料を添加した場合には、Cs、Iと共にZnやFeが検出された。この結果から、コンクリート材料はCsマイクロ粒子形成に重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デブリを模擬した元素とコンクリートを溶融反応させることでマイクロ粒子の生成を確認できた。さらに、生成の条件を変えることでマイクロ粒子中の元素組成に変化があることを明らかにした。このことから、2年目の研究のための実験方法が確立できたと判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生成の条件を変えると共に、生成したマイクロ粒子の分析を電子顕微鏡などにより行う。初年度は、コンクリート材料を対象とした。2年目は、コンクリート材料を対象とする実験を継続すると共に、フィルター材料や塗料に含まれる材料なども対象としてマイクロ粒子を作製する。
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Causes of Carryover |
今年度は、コンクリート材料の有無の影響を調べる試験を予定した。まず、セリウムをウランの代替として用いる実験を行った。その中で、マイクロ粒子形成時におけるヨウ素の影響を調べることは重要と判断し、ヨウ素の存在により生成するマイクロ粒子の影響を調べる実験を優先させた。一方、ウランを用いる実験は行うつもりでいたが、組成としてヨウ素の添加を優先させたため,次年度とした。したがって、ウランなどの放射性物質取り扱いのための消耗品の購入を来年度に行うこととした。
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