2017 Fiscal Year Research-status Report
Innovative biomass fuel cells using waste woody baimass directly as fuel
Project/Area Number |
17K19087
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
日比野 高士 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (10238321)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 廃棄バイオマス / 燃料電池 / 水素生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースとオルトリン酸懸濁液の物性評価:モデルバイオマス成分として市販のセルロース(和光)を使用した。これをオルトリン酸と混合し、100から200℃で熱処理し、可溶成分(液体)と不溶物(残渣)を分離した。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるセルロースの分子量測定の結果、原料サンプルでは重量平均分子量が68,300であったが、150と200℃の可溶成分にはGPC法で検出できるセルロースが存在していなかった。液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)法で150と200℃可溶成分を分析したところ、単から四糖類誘導体が両可溶成分で観察された。これより、セルロースはオルトリン酸溶液によってC10-C17成分に加水分解されていることが判明した。 燃料極におけるアノード反応の解明:Pt/Cアノードにセルロースとオルトリン酸の混合懸濁液を燃料として付与し、キャリアガスとしてアルゴンを流通して、出口ガスを質量分析した。開回路では何も検知されなかったが、放電すると二酸化炭素が生成し、またその量は電流密度とともに増加した。アノード反応を四電子反応と仮定した場合の電流効率はほぼ100%であった。従って、セルロース加水分解生成物が水分子と反応し、二酸化炭素とプロトンに酸化されていると結論した。 高活性燃料極の開発:バイオマス燃料電池構成部材の中で大きな電気抵抗を示す燃料極(Pt/C)の特性を改善するため、Ptと他元素の合金化を行い、これらの電極性能を比較した。最適化の結果として、PtFe/C(Pt:Fe=1:1)が最も低い電気抵抗を示し、これを燃料極として用いることによって燃料電池出力が30 mW cm-2(Pt/Cでは23 mW cm-2)に到達した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
提案した研究計画・項目(バイオマス燃料の特性評価、発電機構の解明、アノード材の改良、発電特性評価)が各種実験によって実証された。また、これらの研究成果を学術論文4件と特許1件として報告できた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究でダイレクトバイオマス燃料電池の機構解明とその知見に基づいた性能向上に成功した。本年度は本アプローチが燃料電池に留まらずバイオマス電解による水素製造にも応用展開できることを実証する。水素ガスは水、天然ガス、石炭やバイオマス等から製造されている。この内、水を除いた燃料では殆どが水蒸気による改質もしくは空気による部分酸化であるが、これらのプロセスは800℃以上の高温条件を必要とし、また最終段階で生成ガス中から水素ガスを分離しなければならない。一方、水電解の場合には室温しかも一段で純水素ガスが得られる反面、このプロセスを進行するには1.5V以上の電圧印加を要求する。従って、将来の水素社会実現に向けて、従来法よりも低コスト・高効率な水素製造法が近年、切望されている。これに対して、本アプローチをバイオマス電解に応用することで、印加電圧が理論上0Vもしくはマイナスとなり、水電解に対して大幅な省エネ効果を期待できる。また、廃棄もしくは未利用の木・草質バイオマスの電解であれば、資源量が豊富でしかも再生可能である。バイオマスを構成する炭素成分は電解時に二酸化炭素となるが、資源そのものが持つ低炭素効果によって化石燃料からのガス化に比べ地球温暖化への影響が小さい。さらに、本アプローチでは作動温度が150℃の中温であるため、使用する電極材料を非金属系にできる可能性が高い。安価な炭素電極を化学的に修飾することによって対応する予定である。
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Causes of Carryover |
採用予定の研究員が当該年度に着任できなかったため、人件費がそのまま未使用となったが、その分を平成30年度の研究員雇用延長に充てる予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Patent(Industrial Property Rights)] 水素生成装置2018
Inventor(s)
寺西, 日比野, 長尾, 福井, 澤口, 今村
Industrial Property Rights Holder
寺西, 日比野, 長尾, 福井, 澤口, 今村
Industrial Property Rights Type
特許
Industrial Property Number
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