2017 Fiscal Year Research-status Report
電子強誘電体の特徴を活かした新規セシウム除染材料の開発
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17K19090
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| Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
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Principal Investigator |
吉井 賢資 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究主幹 (90354985)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 直 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (00222894)
林 直顕 一般財団法人生産開発科学研究所, その他部局等, 研究員(移行) (70346047)
辻 卓也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 任期付研究員 (80596007)
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| Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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| Keywords | 電子強誘電体 / セシウム / マルチフェロイック / 鉄酸化物 / 除染 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究で対象となる電子強誘電体RFe2O4におけるセシウム吸着実験を行った。対象としては、安価かつ運搬に有利な軽希土類Yを含むYFe2O4、および物性が良く調べられているLuFe2O4を選んだ。これらを粉末にし、ppm程度の濃度の塩化セシウム溶液に浸透させ、一晩ほど放置した。吸着の有無を確かめるため、まずはX線回折により構造変化を測定した。水溶液に浸透させた試料では、メインピークを含む数本の回折ピークの強度が最大半分程度に低下していることが分かった。この結果は、試料にセシウムが吸着することにより周期構造に変化が生じていることを強く示唆する。現在、吸着後の残った水溶液中のセシウム濃度の分析を行い、セシウム含有量が吸着により減少したかどうかの検証実験を行っているところである。
本実験と並行して試料作製に着手した。面内のFe-O多面体の空孔の大きさとセシウム吸着能力の相関を見るためのRを変えた試料の作製、また、Fe-O三角格子が余分に一枚入ったR2Fe3O7への希土類置換などを行いつつある。
対象系の物性は未だ不明な点が多いため、Rと誘電性の相関を検討を行うなどの目的から、理論計算にも着手した。最も物性が調べられているLuFe2O4に対し、バンド計算を基にしたハバード模型の平均場近似を行ったところ、誘電性を持つ電荷秩序構造は出現するものの、最安定な状態ではないことなどが分かった。結果は3月の日本物理学会で発表した。現在、R=Yなど他の希土類でも計算を行い、セシウム吸着に有利と考えられる強誘電状態が最安定となる物質についての知見を得ながら研究を進める。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
溶液中のセシウム吸着測定を行う誘導結合プラズマ(ICP)分析装置の故障や電気炉のマシンタイムの確保不足から、実験の進捗は多少遅れている。しかし、5.研究業績で述べた通り、X線測定から吸着の可能性の示唆が得られ、また、当初予定していなかった理論解析に着手したことから、多角的な研究を進められる可能性が開けてきた。
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| Strategy for Future Research Activity |
5.研究実績で述べた通り、残った水溶液中のセシウム濃度の分析を行う。もし水溶液中のセシウム濃度が吸着により減少しているならば、セシウム吸着したRFe2O4試料を水中で加熱し、強誘電相転移温度330K以上においてセシウムが簡便に脱離するかを調べる。この実験についても、5.研究実績のX線回折測定および水溶液のセシウム濃度分析を行う。並行して物質合成を行い、どの希土類や結晶構造でセシウム吸着が最も効率的かなどの知見を得る。理論解析についてはLuと格子定数が最も異なるY系で行い、強誘電相が最安定であれば、5.研究実績の通り本系が応用に最も適していることから、Y系を中心に実験を行う。
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| Causes of Carryover |
（理由）
7.現在までの進捗状況で述べた通り、ICP分光装置の故障や電気炉マシンタイムの確保不足等で実験が遅れたことにより、H29年度に実施できなかった実験に係る経費が次年度使用額として生じることとなった。
（使用計画）
H30年度は分光測定結果をフィードバックして試料作成に注力するため、希土類試薬の購入に使用すると共に、対象酸化物は磁性を持っていることからセシウムの磁気分離の可能性も探るための磁化測定装置用ヘリウムガス購入等に使用する。
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Research Products
(1 results)
