2017 Fiscal Year Research-status Report
Development of Interface Specific Laser Temperature Jump Spectroscopy
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17K19096
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奥野 将成 筑波大学, 数理物質系, 助教 (00719065)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 界面・表面 / キラリティー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、水/水溶液界面におけるモデルペプチドの二次構造とそのヘテロダイン検出キラル振動和周波発生信号の相関の研究を行った。これまでの研究において、電場の位相情報が得られないホモダイン検出法によっていくつかのモデルペプチドが測定され、キラル振動和周波発生信号とペプチドの二次構造の相関が提案されている。 本研究では、ヘテロダイン検出法を用いることにより、分子の配向とキラリティーを反映した位相情報を得ることに成功した。アルファヘリックスを形成するポリベンジルグルタミン酸および反平行ベータシート構造を形成するリシンとロイシンが交互に配列した合成ペプチド(K(LK)7)を測定した。その結果、ポリベンジルグルタミン酸からはアミドI領域から信号は得られなかったが、NH伸縮振動領域からは正の信号が観測された。一方、K(LK)7からは1620 cm-1付近にアミドI由来のバンドが正の符号で、さらにNH伸縮振動領域からも正の信号が観測された。このように、アミドI領域とNH伸縮振動領域の信号の有無と界面におけるモデルペプチドの二次構造の相関が示唆された。また、信号の符号を今回初めて明らかにした。ヘテロダイン検出キラル振動和周波発生信号の符号は、分子のキラリティーだけでなく分子配向も反映しているために解釈が難しいが、今回得られた符号は、アルファヘリックスおよび反平行ベータシート構造が、界面に対して平行に配向していることを反映していると考えられる。 さらに、温度ジャンプ法を行うための同期に用いるレーザーの選定を行った。従来の大規模な温度ジャンプ用のレーザーではなく、近年開発された1.56 umのファーバーレーザーを用いることにより、温度ジャンプが可能であるという見積もりを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
温度ジャンプに用いるモデルペプチドであるポリベンジルグルタミン酸およびリシンとロイシンが交互に配列したK(LK)7のヘテロダイン検出キラル振動和周波発生分光を行った。これらの分子は気液界面でそれぞれアルファヘリックスと反平行ベータシート構造をとることが知られているが、それらの二次構造の違いを反映したキラル振動和周波発生信号を得ることに成功した。これは、キラル振動和周波発生分光法によって界面の二次構造が区別できることを意味しており、温度ジャンプによる二次構造の変化を時間分解測定できる可能性がることを示唆している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に導入したファイバーレーザーを分光装置に同期させることによって、温度ジャンプ-ヘテロダイン検出キラル振動和周波発生分光装置を構築する。その分光装置を今年度に測定した試料に対して適応することによって、二次構造のダイナミックな変化をキラル振動和周波発生信号の変化としてとらえることを目標とする。
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Research Products
(8 results)