2018 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖の特異的な分子間相互作用と細胞のガン転移機構の分子論的解明
Project/Area Number |
17K19111
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
野口 秀典 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, グループリーダー (60374188)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | 表面増強赤外分光 / 生体界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
多生体反応の多くは,細胞膜表面などの界面での反応が重要な役割を果たしている。このような生体反応を理解するためには細胞表面・界面における分子(水、タンパク質、脂質など)の構造あるいは動的挙動を反応が進行しているその場(水溶液中)で、かつ高い空間・時間分解能で明らかにすることが重要となる。例えば、現代の外科的手術の際に必須である麻酔(全身麻酔)の作用は、吸入した麻酔薬が細胞膜に溶解することによる細胞膜の膨張、細胞膜の流動性の変化、細胞膜上で麻酔薬周囲に氷状水が形成されることに由来すると、あるいは 麻酔薬が膜蛋白質の受容体やイオンチャネルに働くと言った様々な仮説がこれまでに提唱されてきたが、依然として麻酔作用のメカニズムは解明されていないのが現状である。 本研究では生体内の過程を分子レベルで高い空間分解能を付与した界面顕微分光法を新たに構築し、生体界面(細胞膜、脂質二分子膜)構造・反応、および機能発現に重要な役割を果たしていると言われている界面水の構造、ダイナミクスの追跡を行う。このような生体界面の構造・ダイナミクスを分子レベルで明らかにしていくことで、生命現象の解明に寄与することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は1年間、文部科学省へ出向を命じられたため、研究活動をほとんど行うことが出来なかった。昨年度までは、当研究室で既に構築・稼働済みの和周波発生分光システムと、既存の倒立顕微鏡を組み合わせることで、新規顕微SFG分光システムの構築を行っていたが、空間分解能の最適化が出来ていない状況であった。残りの研究期間を考え、空間分解能は期待できないが、FTIRを用いた表面増強赤外分光法による追跡へ変更し、スペクトルの変化から界面構造および糖鎖-タンパク間相互作用を明らかにしていくことを目指すことにする。
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Strategy for Future Research Activity |
残りの研究期間を考え、計測を和周波発生分光法から表面増強赤外分光法へシフトさせる。表面増強赤外分光法が行える系の最適化と並行して、サンプルの作成にも着手する。糖鎖の表面密度や、長さなどをパラメータとし、糖鎖とタンパクとの間に働く相互作用(水素結合、親水・疏水性相互作用など)の変化を追跡していく予定である。
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Causes of Carryover |
文部科学省への出向を命じられたため、研究活動が行えず研究費の使用ができなかった。残りの研究機関で計画どおり研究が遂行できるように研究費の執行を行う。
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Research Products
(5 results)