2019 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖の特異的な分子間相互作用と細胞のガン転移機構の分子論的解明
Project/Area Number |
17K19111
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
野口 秀典 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, グループリーダー (60374188)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 生体界面 / 糖鎖 / 赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体反応の多くは,細胞膜表面などの界面での反応が重要な役割を果たしている。例えば、細胞表面に存在する糖鎖は、細胞間や細胞外基質との相互作用や細胞外との情報交換に深く関わっていることが近年明らかになってきている。この糖鎖は、細胞の接着や分化、ガン細胞の転移、感染症の感染など、細胞表層の糖鎖とタンパクとの結合が関係していると言われている。したがって、細胞の表面構造を調べ、糖鎖-タンパク間相互作用を調べることは、生命現象を理解する上で重要な課題である。本研究では、表面・界面の分子構造に関する情報を取り出すことが可能な、界面選択的な振動分光法をを用いて、実細胞表面の糖鎖とタンパクとの間の特異的な分子間相互作用、および糖鎖-タンパク間相互作用におよぼす細胞表面の水の役割を調べ、依然として不明な点が多く残されている細胞表面の糖鎖の特異的認識能を分子レベルで明かにしようとするものである。 本年度は、糖鎖-タンパク間相互作用を調べる第一段階として、固体基板表面に糖鎖をコーティングしたモデル糖鎖表面の構築を行った。糖鎖のモデル分子としてα-グルコシル化ルチンを用いた。ポリフェノール配糖体であるルチンは、糖鎖および親・疎水両用の接着機能を有するカテコール基を含有しており、それぞれ得意的分子認識部位および接着部位として働く。α-グルコシル化ルチンを表面を酸化させたSiプリイズム上に水素結合を介して吸着させ、α-グルコシル化ルチン修飾表面を構築し、多重全反射赤外分光法(ATR-IR)により表面構造の評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖鎖-タンパク相互作用を調べるための、モデル糖鎖表面の構築に時間がかかり、計画が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
構築したモデル糖鎖表面の生体分子特異性を調べるために、種々のタンパク質を導入し、糖鎖表面との吸着過程を赤外分光法で追跡し、構造変化を追いかける。
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Causes of Carryover |
計画が当初より遅れてしまい、次年度に予算を使用するため。 次年度では、作成した糖鎖モデル表面とタンパク質との相互作用を分光学的に追跡するためのタンパク質試薬の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)