2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation for fluorenylidene-acridane that shows ground state mechanochromism
Project/Area Number |
17K19116
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 豊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (00334243)
|
Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
|
Keywords | アクリダン / フルオレン / メカノクロミズム / 有機半導体 / 感圧材料 / 配座変化 / コンフォマー / アクリジニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
押すなどの機械的な外部刺激により性質を変化させる材料はメカノクロミック材料と呼ばれ,センサーやスイッチなどに応用可能な新しい機能性材料として興味がもたれている.機械的刺激により発光色を変える材料はこれまでに多くあったが,我々は,刺激により吸収色(見た目の色を大きく変える物質)を合成することに成功した.我々は,フルオレンとアクリダンと呼ばれる有機芳香族化合物を二重結合で連結したフルオレニリデン-アクリダンと名付けた化合物を新たに合成し,このフルオレニリデン-アクリダンの黄色い粉を乳鉢ですりつぶすと,濃い緑色に変化することを明らかにした.これは通常の有機分子の結晶を砕くと色がやや薄くなることと逆の現象となる.この深色化の科学的背景は,機械的応力というマクロな力を分子の形態変化というミクロな変化につなげたことにある.また,この現象は,励起状態でなく基底状態のメカノクロミズムであることを示した.結晶の状態では黄色であるが,結晶を砕くと濃い緑色に変化した.この変化により物質中の電気の流れやすさも変化させることにも成功した.これらの変化が分子のコンフォメーション変化によるものであることを明確にし,2つのコンフォマー両方の単結晶構造解析に成功した.機械的刺激という入力情報を,見た目の色と電気特性の変化という2つの出力情報に変換できるため,色が変わるタッチパネルや光学的および電気的に検出する応力センサーなど,新しいデバイスに応用される機能性材料となることが期待される.
|
Research Products
(7 results)