2018 Fiscal Year Annual Research Report
Generalization of Concerted Nucleophilic Aromatic Substitution
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17K19121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鳶巣 守 大阪大学, 工学研究科, 教授 (60403143)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 芳香族求核置換 / フェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、協奏的芳香族求核置換反応という新しい反応機構に基づく芳香族化合物の求核置換反応を開発することである。数少ない前例であるRitterらによって報告されたイミダゾロン骨格を持つフッ素化試薬を参考に、芳香族基質と類似の相互作用が可能な分子の設計、合成、評価を実施した。 最初に2,2'-ビフェニルボロン酸を合成したところ、合成過程で期待した分子内脱水反応が進行し、7員環のB-O-B結合を有する環状誘導体が生成することを明らかにした。この無水物とフェノールとの反応により、イプソ位置換反応が進行しないか、種々の求核剤を用いて検討したが、期待した反応は進行せず、デボロネーションなどの副反応が起こることがわかった。この環状ホウ素化合物で目的の反応が進行しない要因を、ボロン酸のLewis酸性の低さと化合物の熱的安定性の低さにあると考察した。そこで、これらの問題を克服すべく、ナフタレン環の1,8位にジメシチルボリル基を持つ化合物を設計した。この化合物はホウ素原子はすべて炭素原子と結合しているため、先に合成した酸素を持つ誘導体よりもLewis酸性が向上する。しかし、ホウ素上は嵩高いジメシチル基で覆われているため、期待通り熱的には安定であった。この新規化合物の構造をX線結晶構造解析により決定することができた。この分子を用いて、フェノールのイプソ位置換反応を検討したが、熱的な条件下では、目的の反応が進行しなかった。しかし、光照射下では、 何らかの反応が起こっていることがNMR実験により確認されたので、今後の展開への道筋をつけることができた。
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