2017 Fiscal Year Research-status Report
Challenge of elucidation of real crystal structure of polymer single crystal
Project/Area Number |
17K19124
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小椎尾 謙 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20346935)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 単結晶 / 広角X線回折 / 小角X線散乱 / 放射光X線 |
Outline of Annual Research Achievements |
高分子材料は、金属材料や無機材料では有しえない、軽量でしなやかな性質を有しているため、自動車や航空機のボディーやガラスなどの代替が広く進められている。構造と物性の関係を解明することで、高分子材料の物性の改良が進められているが、溶液中で調製される高分子単結晶の結晶構造が乾燥後の試料でしか評価された例がないなど、構造評価に関して未解明な点が多く残されている。本研究では、放射光X線広角回折(WAXD)法および小角散乱(SAXS)法を駆使して、溶液中の高分子単結晶の結晶構造解析に挑戦する。溶液中および乾燥後の試料の結果を比較することで、真の高分子単結晶の結晶構造を解明する。平成29年度は、種々の条件でポリエチレン単結晶の調製し、放射光X線回折測定を行った。 分子量20,000~50,000、分子量分布1.2~2.2のポリエチレンを0.005~0.01 wt%の濃度でp-キシレンに溶解し、結晶化温度60~80℃の条件でポリエチレン単結晶の調製を試みた。得られた結晶の形態を評価するため、シリコンウエハー上に溶液を滴下、乾燥し、原子間力顕微鏡により観察した。一部単結晶の形成が確認されたが、樹脂状の結晶の生成も確認された。 この結晶浮遊溶液をデカンテーションおよび減圧下で60℃で保持することで濃縮し、放射光WAXD測定を行った。その結果、ポリチレンに特徴的な斜方晶の(110)、(200)の回折ピークが確認された。しかしながら、結晶構造を解析できる程度の精度高い実験結果を得ることはできなかった。これは、濃縮が十分でなく、溶液中に存在する結晶の存在量が低かったためと推測され、平成30年度は十分に濃縮した試料で測定を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにポリエチレン単結晶を調製し、溶液中で放射光WAXD測定を実施可能であることを明らかにした。今後は、単結晶を破壊することなく、溶媒を留去して十分な濃縮を達成する必要がある。放射光WAXDおよびSAXS測定を実施する状況も整っており、適切なサンプル調製が達成されれば、目標の達成は可能であると期待している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、当初の計画通り、種々の条件で調製した溶液中に存在する単結晶の結晶格子の評価を行う。これに加えて、乾燥後および乾燥過程の結晶格子の評価も行う。さらに、高速度偏光カメラおよび偏光顕微鏡観察を、溶液中、乾燥後および乾燥過程において行い、WAXD測定およびSAXS測定を総合的に考察して、乾燥過程の中空ピラミッドの崩壊メカニズムの解明を試みる。
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Research Products
(1 results)