2017 Fiscal Year Research-status Report
アジドイミダゾリニウムを用いる求電子的アジド化反応の開発
Project/Area Number |
17K19125
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
北村 充 九州工業大学, 大学院工学研究院, 教授 (10313199)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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Keywords | アジド / 求電子置換反応 / 芳香族 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機アジド(R-N3)の開発は合成化学に限らずケミカルバイオロジーや高分子・材料分野において重要性が増している。一方,アジドやアジド化剤は爆発性を持つものが多く,爆発性のない安全で簡便なアジド化合物合成法の開発の需要は高い。 一般に有機アジドは,炭素求電子種(R+等価体)である有機ハロゲン化物(R-X,X: ハロゲン)にアジ化物イオン(N3ー)を反応させる求核的な手法で合成されるが,この手法ではアリールアジドなど合成できないアジドも多い。一方,その逆の組合せ,すなわち炭素求核種(Nu-)に対しアジドカチオン(N3+)を反応させる求電子的な手法があれば,アリールアジドなどを簡便に合成できるが,その実用的なアジド化剤が無いのが現状である。 求電子的アジド化剤の基本構造はN3-Y(Y: 脱離基)で表すことができ,これが優れた求電子的アジド化剤としてふるまうにはいくつかの条件がある。まず,脱離基Yには,高い脱離能,低い求核能,求核攻撃を受けにくいこと,が備わることが求められる。また,求電子的アジド化剤がカチオン性であれば,より有効な求電子剤となる。さらに,汎用性を考慮し,アジド化剤が爆発性のない安定な固体として単離できることが好ましい。以上の諸条件を解決した反応剤として,アジドイミダゾリニウムを設計し,その合成に取り組んだ。 置換基が異なる,6種類の異なるアジドイミダゾリニウムの前駆体の合成に成功した。さらに,この前駆体より調製したアジドイミダゾリニウムを用いて,芳香族化合物のアジド化を行いアジド化できることを見出した。また,3つのアジドイミダゾリニウムの単離に成功した。単離したアジドイミダゾリニウムを用いて同様にアジド化できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要で述べたように,本研究は,求電子的アジド化能を有する反応剤の開発を目指すものである。そのアジド化剤のモチーフとしてアジドイミダゾリニウムを選び,その合成に成功し,また,合成したいくつかは,期待通り芳香族化合物をアジド化できることをあきらかにしており,研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究概要で述べたように,本研究は,求電子的アジド化能を有する反応剤の開発を目指すものである。アジドイミダゾリニウムの置換基の探索を行い,さまざまな誘導体の合成を行う,さらに,様々な求核剤と反応を行い,アジド化合物の新合成法の開発を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 当初配属予定した人数の研究従事者(2017年度配属学生)が集まらず,予定した消耗品等の購入が行われなかったため。 (使用計画) 2018年度の学生の配属は,前年度よりも多く,2017年に比べ大幅に消耗品を購入する予定である
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Research Products
(4 results)