2017 Fiscal Year Research-status Report
ナノスケール領域における電気化学・ラマン分光の同時オペランド新奇測定法の開発
Project/Area Number |
17K19135
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
熊谷 明哉 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (50568433)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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Keywords | 分析化学 / 電気化学 / 走査プローブ顕微鏡 / 表面・界面物性 / リチウムイオン電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノ電気化学顕微鏡は、プローブ顕微鏡の一種であり、電解液と参照極を充填たナノピペットをプローブとして用いる。これにより、電極表面における電気化学反応をその場観察にて評価・イメージングをナノスケールにて可能とする。本顕微鏡は、形状・電気化学反応の測定は同時に電流応答から分析をすることが出来るものの、試料表面における電極反応による生成物を反応過程を追いながら特定するオペランド計測が困難であった。H29年度は主にナノ電気化学顕微鏡に用いるナノピペットの改良とラマン分光器と併設機構の構築を行った。具体的には、通常のラマン分光法と同様の測定を電気化学測定を動作中に行う反応機構として、銀コートしたピペットの作製とその測定機構の構築及び動作確認の検証を行った。その際に用いたナノピペットは開口径が 50 nmから数umを有するものを用いた。また、既存のナノ電気化学顕微鏡にラマン分光用のレーザーの搭載を行った。これによりレーザーの光路の確保とそれに伴うレーザーの焦点位置の調整をパターン基板を用いて行った。また、レーザー機構の搭載に伴うナノ電気化学顕微鏡のファラデーケージの新規改良や外部電源によるノイズ対策を行い、レーザー導入時に通常の電気化学測定が影響を受けないような電気化学・光学顕微鏡一体機構の設計が完成した。この際のノイズレベルは通常のナノ電気化学顕微鏡におけるノイズレベレである0.2 pA程度に抑えることが出来た。これにより、リチウムイオン電池の電極材料表面におけるイオンの挿入脱離過程や水素発生反応などの電極触媒反応をナノスケール領域のイオン・光学の同時計測が可能となりつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の要となるのは局所領域の電気化学測定が可能なナノピペットを用いて、ラマン分光測定を行うことである。銀・白金を蒸着した金属ピペットを作製し、既存のナノ電気化学顕微鏡にラマン分光器の導入を行った。また、それに伴う同時測定機構の開発や動作確認を行い、当初の狙い通りの測定が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は、本同時オペランド機構を用いて、ナノスケールでの電気化学・光学特性の検証を行う。特にリチウムイオン電池の電極材料における電極表面の反応や電極表面における被膜形成機構の解明を行う予定である。また、他の電気化学反応への応用が可能であることから、二次元材料の電極触媒反応や金属腐食に関してその反応機構のオペランド計測を進めていく。
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